閑暇街。
ネオンは、街を浮き彫りにする。空虚なストリート。この街で生きる人だけが佇んでいる。その数は私が思っているよりもずっとずっと少ない。
「誰もこないね」
深夜一時。街が死んでいると、いつもよりいくばくか肌寒く感じる。
「初めてだよ。バック、0円」
先輩の白い吐息は、物憂げに夜空へのぼる。
「みんな、どうするんですかね」
街の明かりは消えてない。ビルの一部屋一部屋に店主がいて、従業員がいる。しかし、ネオンが照らすのは、粉雪の積もらない道路と居場所のない私たちだけだ。
「どうにかして……生きていくしかないんだな」
生きていく。それが、こんなに切実なことだなんて。私は今夜、怖くて煙草に火をつけることも、缶チューハイを開けることもできない。生きていく。でも、そろそろ挫けそうだ。