夢尋問。
「どうして僕を遠ざけたの? 何の説明もなく、さ」
青年はその女性の夢に侵入して尋ねた。
「こうやってずけずけと夢に出てくるところも、一因ね」
女性は毅然を保とうとしていたが、やがて溜息をついた。
「あとは、少し怖かったんだと思う」
「怖い?」
「私の悩みとか感傷とかが、あなたの掌に丸め込まれそうになってしまいそうで、怖かったの」
青年は言葉を飲み込み、解釈した。
「君が通る道を僕は先回りしているから、いいアドバイスができると思っていたんだけどね」
「私は、それが怖かった。私一人だけが悩んでいると思ったいたことを、あなたはとっくの昔に通って、ベターな答えまで用意している。まるで、私の方がちっぽけであるみたい」
「君はちっぽけではないよ」
「でも、あなたよりはちっぽけであるわ。それが苦しかった」
「……それなら、そうと伝えて欲しかったな。突然連絡網を絶たれて、かなり混乱したよ」
女性は俯き加減で、言葉を落とした。
「それが嘘だと分かるから、そうしなかったのよ」