王僕。
王様は威風堂々とその任期を満了した。
「ありがとう!」
「王!」
「威光よ永遠なれ!」
広場には国民が総動員して、その功績を讃えている。誰も暴動を起こさない、平和的な熱狂だった。多くの人は涙混じりで、ロケットにくくりつけられた王様に叫んでいる。
広場のシンボルである大きな砂時計は、この瞬間のために設えられたものだ。まもなく砂は落ちきる。ファンファーレが始まると、大衆は熱狂のるつぼと化す。カウントダウンが空を揺らし、大衆はそれに乗じて地団駄を踏む。
0のタイミングで、次なる王はその引き金を引く。ロケットエンジンの轟音を背に、王の血潮が爆ぜる。大衆は阿鼻叫喚の歓喜に沸き躍る。そして、王の死体を運ぶロケットは、宇宙へと登ってゆく。
王僕は、その任期に心血の全てを献げることを誓いますか?
ー はい。