部屋と宇宙。
孤独な青年が部屋の中央で胡座をかいている。部屋は不気味なほど片付いていて、生活感を欠片も感じさせなかった。まるで、宇宙に向けて人間を展示しているみたいに。孤独な青年は胡座をかいたまま、時々欠伸をしたり、時々揺れ動いたりしていた。時間は簡単に伸び縮みするが、それにしてもこの部屋で流れる時間はゆっくりだった。
孤独な青年は宇宙を想起していた。地球が気まぐれに自転を(あるいは公転を)止めてしまった時、塵のように吹っ飛んでしまう儚さについて考えていた。それほどのエネルギーを孕んでいるのに、止まっているかのようにしか認識できない認知能力について考えていた。孤独な青年は、このように宇宙からの視座で自己認識をして、いつもやれやれと自身の存在を憂いていた。孤独な青年はやがて脚が痺れて、姿勢を崩した。そして埃一つない(もちろん、孤独な青年の視覚能力の範疇において、だが)床に伏して、数十分の眠りに落ちた。
孤独な青年はあなたとは別の存在だが、あなたの心にもまた孤独な青年のようなものは存在する。私はそれを確信している。