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サンクチュアリ。

 近所の公園が幼少期の僕のホームならば、隣町の公園は僕にとってのサンクチュアリだった。そのとてつもなく広い公園に抱いた畏怖を、ふと思い出すことがある。

 毎日が未知の事象に溢れかえっていたあの頃、僕は公園の探索が何よりも好きだった。しるしをつける様に一本一本全ての木に登り、それぞれの特性を身体で覚えていった。高い木に登ったときに見渡す公園が好きだった。

 少し大きくなると、僕は故郷をエグザイルする。一歩一歩街を知るようになり、自転車をこぐようになった。そして、あのサンクチュアリに辿り着く。未踏の公園。入ることが憚られる公園。僕は何度もサンクチュアリを訪れ、眺めていた。この聖域に入城する瞬間を夢見て、自身の成長を願った。


 身体は大きくなり、もうあの公園が広い公園だとは思わない。しかし、今もあの頃の畏怖を思い出すことがある。大人になるにつれ、その頻度は減るばかり。ふと、悲しみが押し寄せるように。

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