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インターホン。

鍵穴が変わっていた。マンションのエントランス、鍵のきっさきが触れた瞬間、この鍵が拒絶されていることを悟った。まったく、きっと放置している郵便受けにでも新しい鍵が入っているんだろう。時刻はてっぺんを過ぎていて、管理会社に電話しても徒労に終わるし、知り合いの住人においそれと助けを求めることもできない。誰かがコンビニにでも出向いた時、盗人のように侵入する他がない。僕は溜息をついて、せめてもの抵抗として自分の部屋番号の呼び鈴を鳴らした。

「はい」

僕はびっくりした。間違えて隣人の部屋番号を押してしまった、と冷や汗をかいたが、画面には間違いなく僕の部屋番号が表示されていた。

「……どなたですか」

「そちらこそ、こんな時間に何のご用でしょうか」

声に聞き覚えはないが、妙にはきはきと話す口ぶりは不気味さを引き立てるようだった。

「……共用部の鍵が変わっていて」

「あぁ、そういうことでしたか」

タイマーのような音が鳴り、エントラスの鍵は開かれた。それと同時にインターホンは切られ、夜の静寂が僕の恐怖を煽った。



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