ぜんまい仕掛け
自分はぜんまいで動いているのだと思った。昔から、僕にはそういうきらいがあった。活動量が突然増えたり、生活サイクルが乱れたりすると、パタンと動かなくなってしまう。こうなってしまうと、ぜんまいを巻き直す1日を設けない限り動けない。普段の僕は比較的バイタリティに溢れているから、他人に言っても信じてもらえないかも知れない。でも、動かなくなった僕はとても無気力で、とてもやるせない。
今日は、ぜんまいを巻き直す日だった。いつもなら閑暇に身を任せていればぜんまいは巻き直された。しかし、今日はいつまでたっても動かない僕のままだった。瞼を開いていることが辛く、身体も重い。僕は、ぜんまいを自らの手で巻き直すことが必要だった。けれども、ぜんまいはへその裏、体内にあるから到底届かない。頭が回らない。このままでは、ぜんまいが錆び付いて動かなくなってしまう。
結局、ぜんまいは何かの拍子に巻き直されてくれたから、大事には至らなかった。ただ、それが起こらない場合は? 僕はへそを撫で、その可能性にくしゃみをした。