千鳥足ソナタ。

開幕。緞帳はなくても、ブザーが聞こえた。客は多分いない。幽霊は沢山いるかもしれないが、俺の虹彩には映らない。ともかく、幕開けは終わった。俺の舞台は始まったんだ。

千鳥足。正直、酒に飲まれてる。でも、舞台の上で言い訳はいらない。台詞で言わされているなら仕方ないが、俺の舞台に台詞はないさ。弱みなんて犬かカラスかアルマジロに喰わせてやる。

ステップでビートを刻む。リズムは胡蝶調。題目は「夢」。俺は蝶にだって腸にだってなれる。どれも俺で、どれも俺じゃない。現実なんてどうせ不確かで、いやなくらい正確なんだ。朝焼けのピンスポットが俺を照らす。千鳥足ソナタ。舞台は始発の駅まで続くとぅーびーこんてぃにゅー。

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