バースデイ・ラプソディ。
誕生日、あなたから連絡が来れば考えてやってもいいわ。
私は博識な人が苦手だ。あれやこれやと知らないことを押し付けられて、その一つ一つがその人に結びついてしまう。蜘蛛が糸をはるみたいに、気づいたらあなたの亡骸に囲まれている。
誕生日は嫌い。自分が歳をとっていることを再確認させられるだけだし、1年間何をしてきたのかを省みさせてくる。それだから誰か適当な人と過ごして、そういうことを考えないようにみんなしている。ここぞとばかりに連絡をしてくる、忘れかけていた人もいる。そういう人と久しぶりに会って寝たりして、お互いが生き辛く感じていることを慰めあったりする。誕生日がなければ、少なくともこういう一晩は限りなく減るのだろう。
今年は誰から連絡が来るのだろう。トラディショナルな振る舞いに疲れて、今年は一人でその日を迎えようとしている。初めてだ。バーカウンターに行ってもいいし、映画館なんかもよさげだ。でも、ちょうど一年前くらいにフッた、あいつの相手をするのも悪くなさそう。 余りにも罪深い365日の周回も、一つだけいい所がある。それは、大体の問題のほとぼりを冷ましてくれるところね。