鼓動。

夜の畦道を歩いていたら、低い音が脈打つように暗がりに広がり始めた。俺は、それを鼓動だと思った。とうとう俺もご臨終か。思い当たる節はしばしばあったし、俺は覚悟を決めた。

しかし、それは花火の音だと気づいた。田園とは対象的な近代的建造物に遮られ、それを望むことは出来なかったが、9月上旬の夜だ。そうだ、これは花火の音か。俺は安堵して、ガードレールに腰掛けた。


まさか、あれが本当に鼓動だったなんて思いませんでしたよ。それにしても閻魔様。地獄というところは、思いの外悪くない場所ですね。

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