現実解。
「僕が犠牲になれば、この世界を救えるんだ」
青年は、運命を背負い込む覚悟を決めた。
「しかし……」
友人は、その運命を簡単に認めることはできなかった。物心ついた頃からいつも近くにいて、家族以上に信頼していている部分も大きかった。青年を失うことは、自分自身を失うことの次に苦しいのだ。
「僕が犠牲になる……でも、もしそれがどうしようもなく苦しいのなら、僕の後に続いてくれ」
青年の前には、大きな扉がそびえている。
「世界の均衡より僕が大事なのであれば、ね」
青年は、扉の向こうへ飛び込んだ。
青年と友人はあの世で再会した。
「やあ」
「やあ、久しぶりじゃないか」
「君のおかげで、僕は大往生できたよ」
「そりゃあ、身を賭した甲斐があったよ」
青年と友人は、懐古話に花が咲いた。
「しかし、一つ疑問があるんだ」
「なんだい」
「君はずいぶん僕を好いていてくれたよね」
「ああ、間違いないよ」
「僕に続いてくれようとは、思わなかったのかい?」
「もちろん思ったさ」
友人は、やれやれというように首を振った。
「でも、世界の形を変えてしまえるほど、僕は強くなかったのサ」