3652日。
3月30日。僕と彼女は別れの時を迎えた。
「どうして、わざわざ別の中学に行く必要があるの? 」
僕は、親の意向で受験した中学校に進学することになっていた。
「別に引っ越すわけじゃないんだよ。会おうと思えばいつでも会えるよ」
しかし、僕達はそれぞれに長く深い思春期をくぐり抜ける必要があった。同じ地域に住んでいたとしても、その距離は僕が考えていたよりずっと、僕たちの運命を変えてしまうくらいに離れていた。
そうして僕達は、20歳を迎えた。成人式も同窓会も開かれず、僕達はすれ違うことさえ叶わなかった。3650日。僕は酒を呷りながら、そう決意した。ちょうど10年。僕と彼女の運命が並行してしまった境から、ちょうど10年が経過した3月30日に、連絡をしようと決意した。月日はある者にとっては早く、ある者にとっては絶望するほど長い2年が過ぎた。
そして、彼女のいない10度目の3月30日を迎えた。僕はその瞬間、絶望に苛まれる。閏年。あの日から3652日が、暦に必要不可欠な2日が、既に刻まれているのだ。
僕は彼女を思いながら、この文書を書いている。僕と彼女が、すれ違うことはもう叶わないのだろうか? 僕は今も尚、貴方を思い続けているのに。