外国語の夢。
異国情緒的な夢を見た。英語は苦手な部類だけれども、夢の中での僕はまったく違う人間みたいに流暢だった。耳に入る音声がすっと脳に染み込む感触があった。英語をまったくの英語として解釈していた。日本語をブリッジにしか捉えることができなかった僕にとって、それは心地よくもあり、不気味 な経験でもあった。
脳内に外国語を飼い始めると、自分という存在のドメインが確実に割かれてしまう。それは、外国語が僕という人格を食い殺しているとみることもできるし、多様性を内包しているとも言える。ただ、僕にとっては居心地の悪い経験であった。まるで自分の中に自分の卵なるものがべったりと張り付いてしまったような感覚だ。
僕の重いとは裏腹に、夢は確実に僕を侵食していく。そうすることで、到来を示しているのかも知れない。