再会。
一度関係を持った人と再会すると、いつも不思議な心地がする。我々はもちろん、すれ違う全員と関係をもつことはできない。時間というものは有限であるし、ある人にとっての天使がある人にとっての悪魔であることは当然に起こりうる。人と人との関係がむすばれるという奇跡は、星の数ほどはてしない数分の一の確率をくぐり抜けないと起こりえない。
その奇跡を、人間という生き物は軽視するように設計されている。ちょっとしたすれ違いや、一時の感情で、人はその奇跡を埃のように手で払い除けてしまう。これは、人間の悲しい性だ。
だからこそ、一度背中合わせになった人とは再会するように人生は蠢いている。これは、神からのささやかな埋め合わせなのかも知れない。どれほど酷い別れ方をしても、関係を持ったものとは必ず再開する。もちろん、時間が解決してくれる問題があれば、そうではない問題がある。その再会が喜劇であることはそこまで多くはないだろう。もし、再会が喜劇であった場合は、その奇跡を慈しみ尽くした方がいいのだ。