キスマーク。
目が覚めたからシャワーを浴びる。鎖骨についたキスマーク。貴方がきまってつけるキスマーク。水では流れない。擦ったら少し痛い。都合の良い私に目印を付けるみたいに、貴方は私に印を落とす。
出会ったのはいつだろう? 正直あまり憶えていない。生理みたいな周期で、連絡が来るようになったのはいつからだろう? 正直いってどうでもいい。私は貴方と一緒にいたいから。貴方の指先の感触を、全身の細胞が望んでいるから。
無自覚なキスマーク。貴方と過ごす時間、私の実体は溶け出している。時間は永遠みたいに流れる。時間は一瞬のように流れる。物事の表と裏の、境に意識が移る。気付いたら一人。彼はまた消えてしまう。私からの連絡は、彼に届かない。それなのに、彼からの連絡は私の胸に刺さる。血が出る。痛いけれど、避けることはどうしてもできない。
キスマークは、数日で消えてしまう。身体は、それを傷とみなしてしまう。いや、それは正しい反応なのかもしれない。私は、多分傷ついている。けれど、心が少し痛んでも、ダウジングみたいに私は彼に寄せられてしまう。消え行くキスマーク。私はチャコペンで、彼が付けたキスマークをなぞっている。