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初嘘。

僕は今朝の夢で嘘をついた。今朝というのは、嘘をついた直後に目が覚めて、外が仄明るかったからそう言っているんだけれども、夜のうちに眠ったのだから今朝というのは適切ではないのかもしれない。もちろん、御託を並べても仕方がない。いかんせん動揺しているみたいだ。

別に、それは普通なことじゃないかと自分に言い聞かせてみるが、やはり駄目だ。程度の違いはあれど、嘘をつかない人間なんてものは存在しないことは分かっているし、むしろ僕は比較的要領よく嘘を使えるタイプの人間だから、それはともすれば当たり前に過ぎない。しかし、それは初めてだった。僕は夢の中だけでは正直に生きてきたのだ。空を飛んでいる時も、殺人鬼に追いかけられている時も、夢であることを自覚した後も嘘はつかなかった。それは僕の誇りでさえあった。本当は正直な人間なんだぜ、という矜恃であった。

夢でも嘘をつくようになったか。僕はひどく落胆している。でも、君に詰られるだなんて予想だにしなかった。


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