烏と鳩。
烏は鳩を嘲笑していた。
「鳩っていう存在は、本当にはしたないね」
「まったくだよ。人間から餌を貰うだけだなんて、一片のプライドもありやしないよ」
鳩は都会で、人間の食べこぼしに群がる。
「軽蔑する他がないね。僕達みたいに、人間を利用するくらいじゃないといけないね」
「僕達は鳩と違って逞しいね。烏であることが誇りだよ」
「でもさ……」
一部の烏の間では、このような考えが流布している。
「どちらが幸せなのかは分からないよ。齷齪と生きる烏より、牧歌的に生活を営む鳩の方が、ずっと幸せなのかも知れない」
哲学は時に呪いに似た何かを与する。