シンデレラ。
ドレスを脱いでも、シンデレラはシンデレラ。私だってそう。いや、むしろドレスをすっかり脱いでしまった方が、私らしい気もする。嬲られても、燃やされても、シンデレラがシンデレラであるように。私は私。ミー・イコール・ミー。
見窄らしい娼婦。貧相な女郎。どれだけ蔑まれようとも、私はたった一人の私である。世界は確かに、私を中心に回っている。どれだけ私を卑下したところで、ベッドの上で貴方は私に服従する。主導権は確かに、私の方にある。
死にたい? 消えたい? そういうのって、些末な感想に過ぎない。物語は、主人公によって喜劇にも悲劇にもなる。悲劇を気取るのは馬鹿みたい。悲劇を見て喜ぶのは、自分に害が及ばないことを確信している傍観者だけだ。傍観者A。傍観者B。私には余りにも関係がなさすぎて、馬鹿らしい。
シンデレラは死に期するその瞬間まで、シンデレラを全うした。私もそうありたいと思う。地面を引っ掻いても、反吐に塗れてでも、私は生き抜いてやる。ほら、その窮屈そうなスーツ、華麗に脱ぎ捨てちゃいなよ。