君と僕。
「この一年、君は死んでいるも同然だったね」
君は僕に憤っている。
「やめなよ」
「だってそうじゃないか」
僕は君を諌めようとする。
「しかしさ、本当に死んだ人だっているんだ」
「君、それは杞憂も甚だしいよ」
しかし、間違っているのは僕の方なことは初めから分かっていた。
「しかしね……」
「じゃあ、人が死なない一年がどこにあるって言うんだ?」
君はいつも正しいことを言う。
「……」
「君は、そこまでに堕ちてしまったんだね」
「……じゃあ君の方はどうなんだ?」
「僕かい?」
「人のことをとやかく言える程、君は生きていたのか?」
「なんだい、まだそういう感情があるんじゃないか」
君は消える。いや、また隠れたというところか。僕が死んでいるように生きた時、また君は現れる。君が現れなくなったら、いよいよ僕もおしまいだと思う。しかしグレゴリオ暦が告げる周回数は、実に君の登場に都合がいい。