喧騒の只中。
片田舎のパチンコ屋は、その喧騒と裏腹に人がまばらだから好きだ。脳の回転を止めたい時にぴったりの場所。僕はかれこれ10年以上、生きづらくなったらこの場所に駆け込んでいる。
乾いた椅子に腰掛け、ただその轟音に耳を傾けていると、不思議と悩みは駆逐される。それは、考えることをやめるからかもしれない。喧騒の只中で脳を砕き、時々外で煙草を吸う。それが、僕にとっての処世術だ。
晴れやかな気分になったら、金を吸う機械に餌をやる。1000円。運が良ければそれに越したことはないが、運が悪くても一回くらいは演出が来る。人生に華やかな演出はないが、喧騒の只中にはある。それって、なんだか面白いことだと思う。僕は演出を残したジャグラーを残して席を立つ。ボタンは、誰かが押してくれればそれでいい。