行き止まりの壁を抜けて。

行く先には壁がある。立ちはだかる壁。よじ登ることも、突き抜けることもできない壁。壊すことができない堅牢な壁。僕は目を開く。どの道でシミュレーションをしても、壁に突き当たる。

願い事がひとつ叶うなら、時間を止める力が欲しい。僕は永遠の時間、思索をしていたい。しかし、道は僕の背中を目がけて崩れていく。立ち止まることは許されない。地球も火星もペテルギウスも、止まることのできない運命なのだ。

僕は直進を選択する。壁はもうすぐそこに迫っている。目を閉じて考える。これは壁ではない。力を緩めると、忽ち壁は堅牢な壁として役割を果たす。壁ざるものと進めば、壁は壁であることを忘れてくれる。壁に、壁であることを忘れてもらうことが、僕には求められている。

行き止まりの壁を抜ける。抜けたことには気づかなかった。僕は駆け抜け続ける。道は、崩れることをやめないのだ。

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