眠り

今日も眠れない。眠りという営みが初めからなかったのではないかと笑ってしまうようにさえる眼。今日も眠れない。

死について考えたからだ。普段は鼓動していることにさえ気づかない心臓が、ひっそりと動きを止める瞬間。肌はしわくちゃになり
、脳みそもぼんやりとする。今この瞬間も僕は死に向かい続けている。そのベクトルに気づく度に、冷や汗が僕の背中を流れる。僕は本当にすっかり死んでしまうのだろうか。

死の先について考える。無に帰するのか、輪廻転生の円環に取り込まれるのか。天国に行くのか、虫になるのか。想像の域を出ない死の先。僕は、本当にすっかり死んでしまうのだろうか。

布団から体を起こし、月を飲み込む。多分、僕は死ぬのだろう。眠りとは相変わらず疎遠だ。

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