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コロッケ。

湯船には透明感のあるサラダ油がたぷたぷに張ってあって、僕はコロッケのタネとともに浸されている。コロッケのたね? どういう経緯で、僕は油に浸されているんだろう。サラダ油はなぜかサラサラとした肌触りで、摂氏は暑くも寒くもない。でも、コロッケのたねは徐々に音を立てて揚がり始めた。どうやら、この人はコロッケ作りの初心者らしい。油が高温になるのを待ってから投入しないと、あの五月の日射しみたいなサクサク感は再現できない。パン粉がベチョベチョになってしまうなら、それはコロッケである意味を持たないのだ。

でも、コロッケのタネはまずまずのキツネ色に仕上がった。どうやらこのタネは、コロッケになることを強く望んでいたらしい。僕にコロッケ語は分からないけれど、コロッケになることを望むタネがあることは知っている。ちょうど、僕がそうであるようにー そうであるように?


目が覚めると、僕は矢庭にスーパーへ駆け込んだ。今日は久し振りに、コロッケを作ろう。

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