水煙草の魔女。
君は荒地の魔女みたいに水煙草を膨らませた。君が吐くパンラズナが香る煙は、僕に沢山の思い出を連想させた。あるいはその魔女性がそうさせているのかもしれない。
「この頃、先が見えないんだよ」
僕は君にだけ弱さを晒すことができた。僕は親にもセックスした相手にも弱みをみせられないのに、それは不思議な巡り合わせだ。
「君って、頭が良いのにお馬鹿だよね」
君は揺るぎない自我を本当に一人で保っているのだろうか。僕は君の分まで不安に陥る。僕にとっての君みたいに、たった一つでもよすがはあるのだろうか。
「そうゆう風に考えるのが、呼吸だったり代謝だったりの養分になっているなら、いつまでも続けるといいよ」
君は呆れるように煙を吐き出す。僕は呆れるように嘆息する。同じような行為だけども、意味は随分異なる。そういうことって、世の中に結構多い。
「いつまでも、続くのかな」
「いつまでも、なんて宇宙でも成しえてないわ」