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蛹のジレンマ。

俺は蛹なのに、偉いから動いている。まだ成虫になる過程なのに、普通に動いている。幼虫のままで駄々をこねることは辞めて、あくまで蛹として頑張っている。それはとても立派なことだ。少なくとも、活動している蛹を俺は見たことがない。多分、俺はとても偉いのだ。グレゴール・ザムザよりずっと、偉いのだ。

俺は成体ではないから、風が吹けば寒いし、雨が降れば痛い。でも俺は平静を装って、弱音を吐くことは決してない。弱音を吐く成虫より、弱音を吐かない蛹の方がずっと偉い。俺はとにかく偉いのだ。

蛹のまま動き始めた以上、俺は成体にはなれない。急所を体全体に広げて、痛覚を剥き出しにして、俺は生きていく。ただ、俺がその選択をしたんだ。誰よりも偉い俺の選択が、報われないほどこの世界は腐敗していないのだ。

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