稲妻。
ゴロゴロと稲妻が耳を劈く。
「うわぁー綺麗。」
息子は稲妻に見とれていた。
「あんた、よく怖くないねぇ。」
「綺麗なんだもん。…うたれてしまう訳もないのにさ。」
「あんた、雷に打たれて死ぬ人だって少なからずいるんだよ。」
「…宝くじに当たるような確率でしょ?」
「子供なのに、随分冷めているのねぇ。」
「なんで当たるのがいいことみたいになってるのさ。」
「そうじゃなくて、子供ってのは普通確率の小さいことが好きでしょう。プロ野球選手になりたいとか、億万長者になりたいとかさぁ。」
「だから…外から眺める方楽なんだよ。」
私は、無垢な子供が射抜く社会の縮図にヒヤリとした。雷が照らし出す光は、息子を目映いほどに捉えていた。