ドリームループ。
夢の連環から抜け出すことが出来ない。
「ちょっと待って」
僕の声はナレーションのように響くだけで、登場人物の耳には届いていない。(もしくは、貫徹された作為的な無視か?)
僕は意識が夢の中にあることを自覚し、言葉によって登場人物を動かそうとする。僕にはそうすることしかできないからだ。でも、登場人物はめいめいに動き、内容の幾ばくかの可変を除けば、一貫して連環を繰り返す。僕は最後まで諦めなかったけれど、結局言葉が力を持つことはなかった。とても長い連環だったけれども、それが夢である以上は唐突に終わる。でも、本当に長い連環だった。
僕は時計を見てとてもびっくりをした。2時間しか経っていないのに、身体がふっと軽くなって清々しい眠りだった。悪夢も長ければ悪くは無いのかもしれない。