シングル・スタンダード。
「なぜやったかって聞いてるんだ!」
ポリスは声を荒げる。そうすることで自己の優位性を保とうとしているのだ。
「ねぇ、おまわりさん。」
犯罪者は不敵に微笑む。
「おまわりさんも、こういうことやりたいでしょう?」
「…そんな訳ないだろう。」
「ダブルスタンダードですね。」
「何だって?」
「ダブルスタンダードの権化みたいな貴方がたにとっては、自分がダブルスタンダードに陥っているかどうかも分からないのかも知れませんねぇ。」
犯罪者の頬笑みはより深まる。ポリスは何も言うことが出来なかった。かりそめの権力を着飾る制服にしか、彼の優位性は残されていないのだ。