ポトフ。
僕は君の頭をこっそり盗んだ。ばれないようにこっそりと。
僕は君の頭をしっかり盗んだ。なくしてしまわないようにしっかりと。
僕は君の頭でポトフを作りたかった。とても綺麗な形をしているから。
僕は君の頭でポトフを作りたかった。君はとても聡明だから。
大きな鍋に、水をひたひた。頭を入れたら溢れるくらい。アルキメデスの実験みたいだ。不純物は……ない。これはまったくの君の頭。エウレカ!
大きな鍋で、頭をぐつぐつ。脂が浮かぶ。思い出浮かぶ。自分の頭を茹でているみたいだ。僕の頭は……ある。これはまったくの錯覚。アレテー!
ポトフのできあがり。香ばしい。ポトフをいただきます。少し固かったかな?
ポトフはやっぱり、君の頭を食べるために生まれた料理である気がしてならない。ポトフ以前、ポトフ以後。うーん、頭がうまく回らない。頭を食べたのに、皮肉なことだね。