十三歳。
「今夜、泊まらない?」
8年ぶりに彼と会った今日は、別れの日と同じくらい寒かった。
彼は、私の通う小中一貫校に中学校から入ってきた。あの学校は、受験自体は名ばかりのものだったけど、6歳の子供に教科書を押し付ける酔狂な親から生まれた子供ばかりが通う学校だった。私の家はまだましな方だったけれど(公立の小学校よりもずっと近いから、という建前もあった)、多くの人は幅広な道の一点を病的なほど詳らかに凝視していた(あるいは、させられていた)。言葉遣いは度が過ぎたしつけを受けた犬みたいだったし、少し前の韓国でもないのに受験が全てみたいな価値観をすでに植え付けられていた。6年間の学校生活は無味乾燥としていた。他のコミュニティの人とつるんでいるうちに、教室では肩身が少し狭くなっていった。
中学校に入ると、一クラス分くらいの受験組が入ってきた。私は少し期待していた。学校生活にそこまでの期待はこの頃もうなかったけれど、あれだけ無意味に拘束されるのだから少しくらいは楽しみたかった。(何より私はあの頃13歳だった!)けれども、クラスに5人いた受験組は、全員が私の嫌いな要素を凝縮したみたいな人達だった。私はため息をついて、風に流される桜を眺めていた。
私の家の隣の公園で彼を見つけたのは、ヒグラシの声が響いていた頃だった。彼は木陰で一人、煙草をふかしていた。優等性の刻印のような、あの学校の制服を着たまま! 私が声をかけるのに、時間はかからなかった。
「いいよ」
私はそう返した。断る理由なんてもあるはずがない。
「でも、一つだけ教えて」
「何?」
「どうして私に黙って、あの時いなくなったの」
世界中の十三歳の中で誰よりも苦しんでいたあなたを、退学せざるをえなかったあなたを、今夜愛せることが何よりもうれしい。