見出し画像

Another.

人生を変えてしまうことは、それほど難しくない。場所を変え、過去を捨て、その上で多くを語らなければ、全く新しい人生に立ち変わる。そういう意味では、僕は何人分かの人生を(その切れ端だけなのかもしれないけれど)享受している。

その度に失う友人は、心の中で歳を取らせているから竹馬の友で在り続ける。僕は友人達を時々メモに起こして、その幻影をアップデートする。友人達は上手に歳を取り、僕の失踪を時々揶揄したりする。僕はそれを、酩酊の柔らかな微笑みで誤魔化す。そういう夜は宿命であり、必然だ。

そしてまた、新しい人生になった。憂鬱の継続とも、解放とも取れるだろう。こればっかりは正解が分からない。でも、新しい人生になった以上、立ち戻ることは決してできない。僕は溜息を噛み殺して、新しい場所の在処を探す。そうすることがやめられないでいる。


いいなと思ったら応援しよう!