同窓会。
「思い出は、思ったより色褪せているものね」
彼女は小さな溜め息をついた後、遠慮がちに微笑んだ。
「それくらい、時間が経過しているんだよ」
「お互い地球が回った分だけ、歳を取ったね」
メインテーブルではクラスで過ごす能力に長けた人々が、あの頃と遜色なく笑いあっている。僕も彼女もまた同様に、それを斜から見て感想を述べている。
「君はどうして、今日来ようと思ったの?」
「なぜだろう……多分、何か期待をしていたんだと思うよ」
「ひょっとしたら、自然にあのテーブルで話ができるだろう、って?」
「うん。それもうんと楽しい時間を過ごせるかも、って」
僕は嫌味のない笑顔を浮かべようとしたが、それは幾分か含まれてしまった。
「そちらは? 僕以上に来なさそうなタイプだと思っていたよ」
彼女はやれやれと首を振って、僕の質問に答えることは無かった。