God knows.
第六感が暴走し、彼は神様になった。
「光あれ」
ほんとうに光が降り注いだ。しかし、使い古したインクのような、安っぽい蛍光色の光だ。でもそれは、彼の美的感覚から見た安っぽさであって、愚民と蔑まれる人から見れば紛うことなき神の光だった。
「くっくどぅーどぅるどぅー」
はて。それは鶏の鳴き声だったような。しかし、彼を崇め奉る人々は、口を揃えて彼をそう敬った。言葉なんて要は記号に過ぎないし、自身に向けられる純粋な信仰は彼を満足させた。くっくどぅーどぅるどぅー。
しかし、世界は余りにも彼の欲しいがままに変容をした。神様はすっかり冷めていた。困難を求めても彼に象れないものはなく、あらゆる障壁は彼の前で障壁になりうるものでしかなかった。
やがて、神様は信仰の傀儡となり、とてもつまらなく死んだ。神様の絶望は側近の校閲を経て、世界から消えた。