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物書きを志す。

今思えばとても素敵な時間であったのだけれども、小学生の時に夢を語る時間を設けられたことがあった。もっとも、ませた子供が多かったから、プロ野球選手とかそういう類いの夢が登場することはなかった。当時、同じ空間でそれなりに仲が良かったはずの周りの友達とは音沙汰もないが、ふと一人の少女のことを思い出す。

「私は、ものを書く仕事をしたいです。」

それは希有な種類の夢であった。悲しい哉、現実の世界のことばかりを考えていた子供達は、彼女に色眼鏡をかけてしまった。彼女は、僕達とあまり馴染まなかった。

僕は今、物書きを志していて、物書きを志していたあの日の彼女を文字に起こしている。不思議な心地がする。彼女の文章をこの目で見てみたい。それが、何かの不具合で結び目がほつれてしまったあの日の教室を、もう一度結びつけてくれれば尚良いのだけれども。


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