使い捨てルーズリーフ。
この上ない生き方を見つけた。世界を司るのはルーズリーフだった。灯台もと暗しとはこのことだ。だって、僕は高校生の時からルーズリーフを使ってきたのだから。机の棚にはいつもあった。神様は意外と近くに暮らしていることが多いらしい。
きっかけは、眠りへ向かう道の途中にエウレカが落ちていたことだった。僕は世界を改変しかねないそのアイデアを書き留めたかったが、如何せん部屋は暗闇に包まれていた。眠る直前の明かりは、反抗期の頃の母親よりも憎い。それだから僕はら机の上に置いてあったルーズリーフに、文字通り闇雲にその暗号をメモした。
しかし、僕の朝は揺るぎなく机の上を整理することから始まる。それが聖書の新しい解釈でも、数学者を死に追いやる証明が完了していたとしても、ルーズリーフは雑紙に計上される。ゴミ箱に包めないことには、僕の朝は始まらない。あれほど輝いていたエウレカも、使い捨てのコンドームと一緒くたに燃やされてしまったのだ。
エウレカの消失と引き換えに、僕はこの上ない生き方を見つけた。ルーズリーフに包めて、ポン。トラウマもストレスも何もかもを、ポン。こういうのって、随分生きやすい。