パレード。
幸せだな、と思った。その瞬間、世界は地獄に立ち替わった。上へ上へと登っていたジェットコースターは、僕の視線が進む方向だった。振り返った途端に、これまでの全部が下りへと繋がる。シートベルトは付けていない。僕は勢いに任せて放り出されるか、鮮やかな衝突で爆ぜるか。でも、地獄である以上それに大きな差異はないし、先読みをしたところでどれも地獄だ。僕はベクトルが切り替わるまでの静止の中、刹那的な幸福をただ噛みしめていた。
幸せは認めるものだ。誰かがそんなことを言っていたような気がする。はじめて聞いた時は、あぁすごくやるせないことだなと思っていたけれども、僕はこの静寂の中にファンファーレを見出している。たった一度きりの幸福のために、人生があって何が悪いんだろう?
あぁ、幸せだったな。しばらくの地獄は大変だろうけど、僕は幸せを慈しんで耐え忍んでいきたい。