W.C.エンドロール。
止まらない嘔吐のせいで、その日はずっとトイレから動けなかった。便座につっぷして一日を摩耗することは、とてもやるせないと同時に、前衛的なアートの一部になったようなナンセンスをはらんでいる。
「滑稽だね」
トイレのレバーは、さっきから僕を馬鹿にしている。
「自分の内臓にボイコットされるなんて、ほんとに滑稽だ」
確かに、僕の内臓達は仕事を放棄し、すべてを口腔に送り返してくる。それは、全くもって僕の責任だ。
「君のいいところは」
早朝、泥酔に包まれたその声を、僕はずっと反芻している。
「全てがどうでもいいから、惰性に優しくするところだね」
そして、嘔吐の波がまたやってくる。激しい闘争に終止符を打つブルドーザーを、僕は持ち合わせてはいない。