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【禍話リライト】「封の個室」

霊感があるというわけではないんですが、若干普通よりも出くわしやすいという人から聞いた話です。


女性の知り合いの方で、都内のとある駅のお手洗いに行きました。

その時は女性用トイレは混み合っていて、スマホを時間潰しに見ながら5人分位、列が進むのを待ちました。

自分が先頭になったのでパッと顔を上げると、一つドアの空いた個室が目に入りました。

(なんだ、ドア開いてんじゃん。個室一個空いてんじゃん、入れるじゃんもう一人…)

と思ったら、その入り口に無造作に2、3本のテープが貼られていて、

(これは使用不可の意味なのかなぁ?)

と思ったそうです。


見ると、明るい個室の中に和式トイレ。

特別おかしなところはありません。

テープさえなければ、使えないなんて分からないような。

(水洗レバーとか壊れてるのかなぁ?)

とか思っていると、その隣の個室のドアが開きました。

入れ替わりでそこに入って、そこも和式だったのでしゃがみ込んで、ふと使用禁止になっている隣の個室を何気なく見ました。

トイレを仕切る壁の一番下のほんの僅かの隙間の部分。

向こう側をのぞき込むにはあまりにも足りない僅かな隙間ですが、
光が遮られており、『向こう側に何かがある』ということが分かりました。

その『向こう側にいる何か』は、身動ぎというか、震えているというか、少し動いている感じだったそうです。

よーく耳を澄ましてみると、

ジャリ  カッ

という微かな音もします。

(ハイヒールを履いた足なのかなぁ?)

と思ったそうです。

例えて言うと、無理して高いヒールを履いて立っているのもやっとな人間がプルプル耐えているような。

そんな身動ぎ方だったそうです。


(テープが貼られていたのを、誰か人が無理矢理入ったのかなぁ?)

と思いながら、用も足し終わって立ち上がろうとすると、

身動ぎする足はそのままに、壁の下のアルミ製の縁のところから、

シュッ シュッ

と音がします。


(え?ん?)

と思って、その壁の下の部分を見てると、

何か蠢いているような影が見えるから、

(えぇ…)

立ちすくんで見てると、

ほんの一瞬だけ縁をなぞる指先のようなものが見えたそうです。

(アッ、これキツイ!)

と思い、水を流し外に出ると、
相変わらず空は明るく、混み合う駅のトイレです。

隣の個室は相変わらずテープが貼られて、誰もいないという…。


―という事を言われたので、私はそこのトイレは避けておこうと思います。


これは、【猟奇ユニットFEAR飯】が提供するツイキャス【禍話】にて紹介された、禍話リスナーAさんのおたよりの内容を書き起こしたものである。

一見すると、(ただちょっと変なことがあったんだ~)と思う位の印象の方もいるかもしれない。


しかし、語り手のかぁなっき氏は「ホントこういうこと言いたくないんだけど…」と前置きをしつつ、以下のように語る。

「皆さん聞いている人は、ほら!そこ知らないし。投稿して頂いたAさんも知ってるけどそこ通らないし、行かないと思うからいいんだけど…


トイレで首吊る人って座ってやったりするんすよね」

座位の状態で、縊死に至る方法。
その手段についてはあえてここでは言及はしない。

ただ言えることは、
駅や公園、商業施設のトイレの個室。
そういった場所で命を絶つ人は、人知れずいるのだという。

曰く、

完全に事件性がないと判断がされた場合、それらのことをわざわざ報道すること自体がそう多くない筈であり、人の混み合っていない時間帯で発見されたのであれば、不特定多数の人々によるSNSの拡散の可能性も低くなる。

その為、ごく僅かの関係者以外には知られず、その場では何事も無かったかのように処理されているのであろうとのことだ。



それに加えて、かぁなっき氏はAさんのおたよりに記載されていた『個室の入り口に無造作に貼られたテープ』について、以下の考えを述べた。

「恐らくなんですけど、普通封印するとしたら、鍵かけて使用禁止にすると思うんですよね。

普通してたと思うんですよ。


なのに、

中から音がするから、『誰か入ってますよ』っていう問い合わせが恐らく多いので、わざとちょっと開けてるんだと思うんですよ。
「ほぅら、中誰もいないじゃないですか」っていう。


恐らく外で待ってる分には聞こえなくて、左右というか、横(隣の個室)で用を足していると聞こえるのかな?

『人が入ってると思うんですけど』ってみたいなことが、何度かあったんで、そういう対応してるんだと思うんですよ。

普通だったら完全に塞ぐと思うんで。


それか、

もう暫くしたらBGM(塞がれた個室からの物音)が五月蠅くなってるかのどちらかでしょうね。

そこのトイレがね」




都内某所の駅のトイレ。

不自然に封じられた個室。

そして、そこにいる【何か】。





ただ気付いていないだけで、そんな【何か】は案外身近に存在しているのかもしれない。



出典:【禍話インフィニティ 第二十夜】

(2023/12/02)(13:10~) より


本記事は【猟奇ユニットFEAR飯】が、提供するツイキャス【禍話】にて語られた怖い話を一部抜粋し、【禍話 二次創作に関して】に準じリライト・投稿しています。


題名は【ドント】氏(https://twitter.com/dontbetrue)の命名の題名に準じています。


【禍話】の過去の配信や告知情報については、【禍話 簡易まとめWiki】をご覧ください。


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