芸術作品としての 藤井風 満ちてゆく
2024年 大晦日の紅白歌合戦を見た人はどのくらいいるだろう。
私は普段 歌モノの曲をほとんど聴かないので もう何十年も見ていない。
と、文章を書きながら改めて驚愕…。
最後に見たのが思い出せない。
それくらい年末の紅白歌合戦は 自分にとって 「NHKの番組のひとつ」くらいにしか考えていなかった。
ところが2024年は違った。
ここでも何度か書いているが、藤井風のファンになったので その日を待ちわびた。それが不思議な感覚で ワクワク、というよりは ソワソワ。
なんだか落ち着かない。
大晦日に向かうにつれ、歌唱曲が発表になり、タイムテーブルも発表された。風さんは 22時~出演とこのと。
余談だが、この日、私は都内へ推しが出演するバンドの2024年ラストライブへ出かけていた。
紅白歌合戦はスマホでどこか途中で見ることも可能だが、出来れば家のテレビでリアタイしたい!
終演が 19時。
推しへの余韻と風さんへの期待。
それがぐちゃぐちゃの気持ちのまま新幹線へ飛び乗る。
気持ちばかりが先走る。
帰宅すると すぐテレビをつけた。
何だか わちゃわちゃやってるなー、と横目に見ながら。
でも 不意に 風さんが映ることがあって、それを見逃してはならない、そんな想いから テレビからは目が離せなかった。
21時50分頃、ßźのとてつもない盛り上がりに圧倒。うわ、これ、すごいな。この後 どんなふうに始まるんだろう。
そして始まった風さん。
「満ちてゆく」
風さんの作り出す世界観に引き込まれた。元からある「満ちてゆく」のMV。それに並ぶ もうひとつのMVを観ているかのよう。または「満ちてゆく」というタイトルの映画を観ているようだった。
こちらのYouTubeは 本日(2024年1月7日)まで観られる。
この映像を通して、私が風さんのパフォーマンスに惹かれるのは「こういう映像を届けてくれるから」なのかもしれない、と再認したように思う。
そして、最後、風さんが胸に花を抱いたままのシーンで なぜ終わらせてくれなかったんだろう、と悲しくもなった。
そう思うのは 私はこの映像は 芸術作品だと思ったから。
YouTubeでは そのシーンはカットされているがテレビで見た人には伝わるだろうか。
風さんが横たわっているところへ、司会陣が 風さんへのコメントを求めた…ことに違和感を覚えたのです。
風さんが、スタッフさんたちが作り上げた世界。それを一瞬にして壊されてしまった。
SNSでは
「風さんの愛あるコメントが聞けて良かった」
「生中継が証明された」
との声多数で、私としては 『それも確かにあるけど…』どうしても釈然としない。
風さんのコメントは ここでなくても聞くことは可能だろう。
また生中継を証明させたいなら、一度画面を切り替える、などの手法も容易のはず。
風さんのNYからの生中継は 司会陣にも知らされてなかったようだ。なのであたふたした彼らの顔が 風さんの姿と同じ画面に映し出された。
NHK側としては 司会陣にも視聴者と一緒に驚いて欲しかったのだろう。
だが 視聴者の一人、としては 司会陣はそちら側(NHK側)の立場として捉えている。
私は、予め 司会陣には『こんなパフォーマンスがあります』と伝えておくこともできたのではないか、と考えた。
NYからの生中継で。通信などのトラブルもなしに。これだけのものを観せられて、そう思う私の気持ち。
汲み取ってもらえるだろうか。
紅白の映像は素晴らしかった。
私がまず『おぉ』と思ったのは 映像 1分50秒辺りで 風さんが 室内から屋外へ移動するところ。
屋内は薄暗いにしても(むしろこの方が、歌詞に合っている) 屋外へ出た時との 色の変化に違和感がない。
例えば、自分で スマホで写真を撮影しようとした時、部屋の中と外では 撮影しにくいな、と思うことありますよね。スマホカメラがある程度 オートでコントロールしてくれるけれど。
映像作家さんの X 。
私は技術的なことについて素人なので、こちらを貼りました。
リプライのコメントも読んでいくと 更に、この演出にどれだけの気配りと技術が詰め込まれたものか、が分かる。
私にわかるのは 5分の映像を ワンカットで撮っていること。
鈴木さんによると、ステディカメラを操作しているらしい。
たくさんのスタッフさんの、まずはカメラマンさんにありがとう、の気持ち。
ここからは、この映像美に魅了されて、あれこれSNSを見ていて 疑問に思ってたことが解決されたり、納得したことを残しておく。
*エキストラ
あの区画を借り切って画角に入る人はエキストラに。
そりゃそうだ。撮影、と知って 設定にはない人が絡んで来たら大変。
*環境音
区画を借り切っても、周りの音は入ってくる。そして 3分30秒辺りから 風さんが リフトのようなもので上に上がる。この時の動作音。これらの音が バンドの音や 風さんのマイクに乗らないようにすること。
これはラインで音を撮るようにしてあるらしく。ライブコンサートで使われるようで お客さんの拍手や歓声を拾わないようにする、んだそう。
監督のX。
さむっ、だろうと思ってた。
バンドメンバーも手、冷たかっただろうな。そんな中で演奏するのは大変だっただろう。
これは数秒ズレると この画は取れない、と どこかで見た。
つまり 歌のスタートから、この歌詞の時はここにいる、そして動く、の動線を綿密にリハーサルした、ということ。
これだけのものを積み重ねた あの紅白歌合戦での 5分。
スタッフさんの 予想以上の数の多さに 驚くばかり。
これだけの人の叡智の結晶。
日本からの声かけで、起き上がった風さん。
『わし、コメントせんといかんのか?』とそんなふうにもみえました。
だからこそ、この芸術作品への司会陣絡みが残念に思えたんだろう。
風さんへの期待の気持ちは膨らんだまま、2025年へと年越ししました。
他のSNSでは書ききれない 風さんの素晴らしさ。また書きたいと思う。よろしければお付き合いください。