ある献血の日のはなし
先日、久しぶりに献血に行ってきた。
常設の献血ルームはまだ行ったことがなく、もっぱら週末に駅前にやってくる巡回バス献血。
コロナ禍で学校や企業での集団献血が激減し、供給不足に陥っているらしい。
ポンポンっと出てきた感想を並べてみる。
採血の仕方が新しくなってる!
以前は、献血針を刺す腕を決めたら逆の腕で事前の採血をやる流れだった。
幸い私は腕の血管が見やすいタイプの人間なので、腕選びに困ることはない。
「腕選び」てなんやねーんという感じではあるが、血管が見づらいと1回で的確に血管に針を刺せず、ブスブスと何度も刺し直すはめになる。
特に、慣れていない新人看護師は苦労するようだ。
家族に看護師がいるのでなんとなく聞いたことがある程度だが、まあとりあえず献血に行くと、両腕にもれなく針をぶっ刺してもらえるのが以前のスタイルだった。
ところが先日は違った。
小さな針付きの器具が登場し、看護師さんが私の中指の指先をぐいっとつまんだ状態で、その器具をバチンと作動させる。
そうすると指先に小さな穴が空いて、つまんだ指を解放するとすると同時に血がにじみ出てくるのだ。
たしか糖尿病患者が血糖値を測る際などに、以前から使われていた手法だったように思う。
指先は神経も血管も集中している部位だと記憶しているが、その性質を利用したものなのだろうか。
神経が集中して痛覚が鋭くなっているとはいえ、一時的にきゅっとつまんでしまえばほとんど痛みは感じない。
うまいこと考えたもんだ。
痛みは慣れだ
針を刺すとき、体を激しくどこかにぶつけたとき、医療脱毛レーザー照射の痛みに耐えるとき。
痛みの少ない生活をしているなあ
と毎回思う。
私は中学~高校~大学とずっとスポーツをやっていた。
走ったりこけたり跳んだり持ち上げたり受け止めたり。
とにかくスポーツは身体へのいい刺激となる。
日常的に刺激が溢れていればどうってことない痛みも、運動習慣がなくなり(肉体的に)低刺激の生活を送っている今は、より痛く敏感に感じてしまう。
性を謳歌している人は献血できないのか
献血をするには、実は様々な制約がある。
身近なところでいうと、
・朝から食事をとっていないのはNG
・体重が軽すぎてもダメ
(看護師さんに言われて気づいたけど、今回けっこうギリギリだった)
・血液の比重が小さすぎてもダメだった気がする
(ダイエット中の女性等で、比重が小さく献血に適さないケースが増えてきたとかなんとか、昔のテレビで見た記憶がある)
・海外での中長期滞在も要注意
・HIVやC型肝炎等の感染者は血液感染するからもちろんダメ
・薬を飲んだり予防接種を前後で受けるのもダメだったりする
今回は新型コロナウイルスへの感染や濃厚接触者ではないか等も、チェック項目に加わっていた。
さて前置きはこれくらいにして、先日改めて気づいたのがこの条件だ。
6ヵ月以内に不特定の異性または新たな異性と性的接触があるとダメ
私には今のところ縁遠いので気にも留めていなかったが、色んな相手と性を楽しんでいる人にとってはけっこう厳しい条件だなあと。
一定期間内に関わる人が多いほど何かしらもらう可能性が高いわけだから、合理的な理由だとは思う。
でも、ハッスルハッスルな若者世代にとって、6ヵ月というのはわりと引っ掛かりやすそうなラインなのではないだろうか。
おそらく特定のパートナーとの間であれば問題ないのだと思うが、なんか相対的に見てセックスに消極的な?国だから成り立つのかなあとか想像したり。
とはいえ、血液の安全性に関わるルールだから、他の国とそれほど大きな差があるとも思えない。
とりあえずおもしろい視点だなと感じた。
無償提供システムはどこでも成立するものではない
以前、インドでの臓器売買・人身売買の実態について書かれた本を読んだことがある。
聞いたことはあると思うが、経済的な格差が大きく社会システムが発達途中の国では、貧しい人たちが自らの臓器を売ってお金に換えることは珍しくない。
(日本にも闇市場が存在するのかもしれないが)
血液も同じだ。
悲しいかな。人体組織は金になってしまう。
そういう国があることを考えれば、日本のように無償で血液を提供し国の中で回すシステムが成立しているというのは、ある意味すごいことだと思うし当たり前だと思ってはいけない。
無論、医療倫理的な観点や、公式に血液に値付けしてしまうと闇市場を追認することになる等、様々な懸念が控えているのだろうとは思うが。
(というより人道的観点から国連の禁止条約が存在したりするのだろうか?)
※今ちょろっと調べたところ、やはり日本にも昔は民間企業が血液を買ったりしていた時期があったぽい。でも調べ始めたらきりがないので、いったんこのへんで終わることにする…笑
'21/01/04 最終更新
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