「不定時法」の時計アプリをGodotでつくる(という決意表明)

つぎの目標は不定時法

 チマチマとつくってきた野口悠紀雄式「超」整理時計アプリがなんとなく完成したので、次の目標をなにしようかと考えてみた。
 で、挑戦してみようとおもったのが「不定時法」の表示ができる時計アプリである

これが試作した「超」整理時計。背景は二分割されていて、右側は週のどれだけを経過しているか、左側はその月のどの程度を経過しているかをしめす帯グラフになっている。月末なので、真っ赤である (^^)

不定時法とは

 落語の「時うどん」なんかに出てくるアレで、日の出・日の入りを基準にしているのだけれど、昼間と夜間をそれぞれ六等分し、それを一刻とする仕組みである。「いっとき」と読むらしい。
 ということで、一刻はおよそ二時間ということになるのだけれど、季節によって昼間:夜間の比率は変化する。それゆえ、夏場は昼間の一刻は二時間よりも長く、夜間の一刻は短くなる。冬場はその逆というわけで、時間の長さが一定でないので「不定時法」という。
 日本は、文明開化の明治期に太陰暦から太陽暦にきりかえたときn、この不定時法を廃止し、定時法にきりかえた。一日を24分割し、それを一時間としたわけである。

不定時法の謎

 不定時法は日の出・日の入りの時刻を基準にして、昼間と夜間をそれぞれ6分割するということになっている。分割されたものを一刻(いっとき)という。これに12個ある干支の呼称をあてはめて呼んだりもする。「草木も眠る丑三つどき」なんかのフレーズに残るアレである。
 この干支を時間表記につかう方法は古代支那が本家である。一日の時間表記だけでなく、何年という記述にもこの干支がつかわれる。「辛亥革命」「戊辰戦争」とかのアレだ。
 干支をくみあわせて何年の出来事であったかを記録するやり方、高校の古文でならったときにはピンとこなかったが、なかなか興味深いやり方である。
 10種類ある十干(甲・乙・丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸)と12種類の十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)をくみわせているのだけど、単純に120種類というのではなく、半分の60種類の組み合わせにしているところがミソ。「60年分を勘定できれば充分でしょ?」という古代人の垣間見えるところがおもしろい。60歳になることを還暦というのもここからきている。
 それにしても元号というのがあるのに、干支をつかった時間表記法を併用するってのも奇妙な話だ。古代日本人の意図はどこらへんにあったのだろう。いかん、話が横道にそれてしまった……

実装にあたっての目論見

 ということで、仕様をかんがえてみる。
 日の出・日の入りの時刻を画面上の円周上にプロットして、その間に六分割の区切り線をいれて、さらにお天道様に相当するものをグルグルと周回させる。この程度の処理なら、今の自分のスキルでも実装できるだろう。
 で、日の出・日の入りの時刻というのは時期によっても違うし、場所によっても異なる。札幌市と鹿児島市とでかんがえてみると、夏至の頃で30分ほどの差があり、冬至のころには10分ほどの差になるという。
 幸いなことに、これらデータは今ではネットで公的機関が公開してくれている。理科年表を参照するのにくらべたら精度は格段に高い。便利な世の中になったものだと感謝しつつ、ありがたくつかわせていただこう。
 この手ののデータは随時APIをたたけばさらにきめ細かい地域別の数字も参照できそうではある。とはいえ、まずは動作確認なので東京か京都あたりのデータをコピペしたものベースにつくることにしよう

不定時法時計、結局、何が便利なの?

 不定時法の時計があったからといって、実用的なものになるとも正直おもえない。明治期のころまでの時代小説を読むときに、併用してみると気分がもりあがるような気がするのでつくってみたいとおもったのである。国学系の書籍を読むときも、なんか気分が高揚するような予感もする。
 という程度の実用性なのだけど、日の出・日の入りの時刻は釣りなどをする人には大切なデータであるとも聞くので、ひょっとしたらよろこんでくれ人がいるかもしれないともおもう

 それなりのものができたら、絵師に発注して「大名時計」の文字盤をモチーフにした画面構成にしてみた。このように妄想しているときが一番たのしい (^^)



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