ありがとう、エリザベス・ストラウト。
時々、月に一回くらい理由なく寝付けない夜があって、昨晩がそうだった。身体は眠い信号を出しているので、あっちにゴロゴロこっちにゴロゴロとしながら寝付こうと試みるが、1時間以上過ぎた気がして(時計は見ない)諦めて本を読むことにする。
今はエリザベス・ストラウトを集中的に読んでいて、最後の一冊の終わりに近づいていたので、一気に読んでしまうことにした。とても胸に沁みる物語を書く作家である。
一人の中年の女性を中心に、住んでいるエリアの住民それぞれの視点や物語を描くことで、人間の「こころ」に立ち上がる様々な思いや印象が立体的に感じられる。作者は、人の心に瞬間的に現れる気持ちを逃さない。それらは、同じことに対してポジティブだったり、ネガティブだったり、それも同時に感じることもある。そしてその思念が、脈絡もなく別の記憶に繋がって行くと、その先で自分という人間が結局何も大事なことを分かって無かったのだな、と気づかせてくれたりもする。「あー、まったくだ」と思う。本当に素晴らしかった。
感じたのは愛である。他者に対する、自分に対する、ありとあらゆる自分に起こったことに対する愛であった。そして、いくら歳を重ねて、いくら学習して賢くなったつもりになったとしても、自分の核となってる部分は変わらないのだなと思う。好きであれ嫌いであれ、それは死ぬまで抱えていかなければならない。それでも、愛を感じる時、自分は良い存在になれるのだと思う。
エリザベスストラウトさん、ありがとう。
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