2023五島トライアスロンレポートその⑥【バイク編】
T1
以前はスイムアップでヘロッヘロになることもあったが、さすがにこんだけゆっくりだと逆に大してダメージはない。落ち着いてゲートをくぐり、次いでシャワーエリアでウェットを脱ぐ(シャワーを浴びながら脱いだほうがうまくいく)。
いつものように腕時計とアンクルバンドのところで手こずるが、どうにかこなしてバイクバッグラックを経て着替えテントへ。当然のことながらスイムアップのボリュームゾーンなのでテント内は大混雑。奥の方で椅子を見つけてバイクモードに変身!ジェルを吸ってBCAAを飲み、手袋をハメながらバイクエリアへ急ぐ。
だいぶ減ったとはいえ、これだけの選手数を収容したバイクラックのエリアは長く、自分のバイクまでがずいぶん遠い気がした。自分の周囲のバイクはちょくちょく無くなっていたが、どっちかというと残っているほうが多かったように記憶している。
落ち着いてバイクのガーミンを起動させ、ゲートまで押していくうちにロード・計測モードに持っていく。そして腕のガーミンと同時にスタート!・・・あれ?腕のガーミンの反応がおかしい?・・・とここで操作ミスに気づいた。
ガーミン操作ミス
レース全体を通して記録させる腕のガーミンは、T1およびT2前後で「ラップ」ボタンを押してモードを切り替える必要がある(Wahooなどはこれを自動でやってくれるらしい)。ところが自分はスイムゲートを潜るときにウッカリ「ストップ」ボタンを押していた・・・
一瞬「しまった」と思ったが、嘆いても別にタイムが変わるわけでもないので気にしないことに。バイクラップと残りのランラップがわかればそれでよい。おちついてゲートを越えて乗車。バイクスタート。
バイク序盤
従来は富江の半島部分を12キロほど周回するコースがあったが、そこがなくなったので、スイム会場エリアを抜けてすぐに右折。少し東進してから島中央部に向けて左折する。慌てず、落ち着いて行こう。とはいえ、180〜200Wを目安に踏んでいるだけでガンガン抜いていく感じ。
ここから名物の3段ジェットコースターが始まる。下りで顔がステムに付くぐらい上体を伏せて加速し、上りでギアを適切に緩めながら回転を維持する。これで面白いように前走車をパスすることができる。
突き当たりを左折し、トンネルを潜る。こんなとこにトンネル、あったっけ・・・?周回コースは毎年二周ずつするから印象に残っているが、その前後のエリアは今ひとつよく覚えていない。
そしてわりとキツいアップダウン(特に下り、これを周回終了後に登り返すのだ・・・)をこなしてしばらくいくと周回コース起点の二本楠交差点を左折する。
手強い人
このあたりの途中で、水玉ジャージの女性に追いついて少し先行した。ところがしばらくするとその女性がまたブチ抜いていく。強い・・・!視界に捉えておいて、上りでパワーかけて一気にまた抜き返すが、平地で巡航しているとまたまたブチ抜かれる。なんなんだこの人は・・・俺だって手加減してるわけじゃないのに!
しかし、そこから大宝折り返しへ向かう高速の下り区間でどんどんと先行され、ついには見えなくなってしまった。なんということだ。あれは間違いなく4倍ウーマンだ。Gou…悔しいが、ここで無理をしてはいけない。まだまだ先は長い。
エイドは何回かあったと思うが、気温もそれほど高くないし、まだまだエアロボトルに十分水もあるので全スルーで。しかし、まだ序盤なのにもう腰がつらくてエアロポジをキープするのが辛い。普段から練習してないからなぁ。
折り返し
折り返し区間はコースの南端から虫垂のようにぶら下がっている。トンネルを抜けて対面区間。対向してくる選手を誰か知り合いはいないかとよく見るが、相対速度が早すぎるし、サングラスの度が弱すぎて全然わからない。
距離調整のためか、折り返し区間は明らかに短かったと思う。これじゃあ確かにスイムで遅れた分を取り返してもまだ誰かに会うのは難しかったかな。
そこからコースは島西岸を北上する。テクニカルなアップダウンとトンネルを繰り返しながら、入江をいくつもクリアしていく。ここはいつもながら厳しい。しかし以前よりも「走れている」感覚があった。上りでタレず、しっかりパワーかけてじわじわと前の選手を一人、また一人と捕まえていくことができている。
高浜
そしていつも楽しみにしている高浜の海水浴場に至る。ここを初めて通った時は、あまりの美しさに思わす「ウワーッ」と声が出た。今年は天候の関係でこの写真ほど綺麗には見えなかったのが残念だったが・・・
この辺のどこだったか、一番キツい(10%)坂の途中でいつも赤うちわ軍団が応援してくれているのだが、今年は「恐竜ペア」だった。この二人は一周目も二周目も、本当に情熱的に応援してくれて、すごくパワーをもらった。機会があれば会ってお礼を言いたいと思うくらいだ。
島の北側、三井楽のあたりに差し掛かると、白良ヶ浜から印象的な4連トンネルエリアになる。トンネルの中も上りだったりして、しっかり回して速度を保ち、抜けたあとの下りで失速しないようにする。
補給
30分ごとに濃厚バナナ味の薄めジェルを飲み、塩タブを舐める。ほか、ときどきエイドで水またはスポドリをいただく。ボトルを赤青2本、お土産で持って帰ることも毎年のルーティンである(そろそろボトルだらけになってきた。辞めようかな)。しかし今年は暑さがほとんどないのであまり水は多くはいらない。ただ、湿度が高いため思ったより発汗している可能性を考え、積極的に給水を心がけた。
そこからさらにしばらく行ってコース図でいうところの「ちょんまげ」みたいなところを北上し、岐宿というところを右折する。と言ってももうこの辺ではとにかく必死で走ることしか考えてないので、この風景もよく覚えてない。
シスター
五島の特徴として、隠れキリシタンがいたことから堂崎をはじめとして教会がとても多いことが挙げられる。沿道の応援も民家のジィチャンバァチャン達だけじゃなくて、シスターたちが例のコスチュームで応援してくれているのだ。京都マラソンの仁和寺の僧侶に匹敵する、なかなかのありがたさである。
そこからはしばらくゆるいアップダウンをこなし、ようやく一周目の終わり、二本楠に戻って来た。一周目のライダーは直進、Bタイプおよび二周目のライダーが左折してゴールへ向かうため、コースは明確に区切られている。
ここまで、ガーミンのアベレージはまだ30km/hを突破していた。明らかに2019年以前よりも走れている手応え(足応え)はあった。例年は二周目になると明確に足に来てガクッとパワーダウンするのだが、今年は一周目よりは少しタレてはいるものの、まだ走れる感覚があった。
二周目
二周目も着実にこなしていく。やはり大宝の折り返しエリアでは誰も見つけられなかった。ところが後で聞くと、ここで山Mさんとすれ違っていたらしい。高浜へ向かって降っていく途中でTREKのライダーを抜いた。と、その直後、「スエさーん!」と後ろから追い縋ってきたのがその山Mさんだった。
「えーなんで山Mさんが後ろからくるの?!」「さっき抜かれたんだよ!良いよ行って行って!」なんと!五島五回目にして初めてレジェンド山Mさんを抜いた!これは自分的には画期的なことだ。ただ、しかしどれだけアドバンテージを稼いだところで、ランで抜き返されるのは自明だった。「じゃ、ランで待ってます!」
その後もキリキリと前を目指して踏み続けているうちに、なんと序盤に消えて行ったあの水玉ジャージの女性が再び前方に現れたではないか!ヨシ!俺も捨てたもんじゃない、長距離になれば勝機もあるということだ(向こうが若いとはいえ、女性相手に・・・)。何度かの上りで距離を詰めて抜き返し、その後は抜かれることはなかった。
二本楠を左折し、いよいよ最終局面へ。行きに強烈に下って来たコースを上り返す。以前はこの坂に完全にメンタルをやられ、失速していたことを覚えている。しかし今年はまだ「生きて」いた。グイグイとパワーかけてこの区間でもじわじわと前のライダーに追い縋っていく。
再度、例の三連ジェットコースターを逆側からこなして福江富江線に戻り左折。ほどなく、ラスボスのような坂が待ち受ける。
もうヘロヘロになった脚にとどめを刺すような坂だが、今年は違う。ワトピアで、インスブルックで、マクリ島で、散々JETT練に明け暮れて来た成果が出ている。とはいえ、残念ながら平均時速はジリジリと低下し、30km/h台キープはもう困難な情勢だった。
例年の、この先にさらに体育館へ向けて往復する嫌な嫌なコースを今年は走らなくていい。いつもは「戻って来て左折」するコーナーを右折して、ゴールエリアの福江を目指しグルーッと回っていくだけだ。もう、キツいアップダウンはない。補給のジェルはあらかた無くなって、あとはマグオン一個くらい。量的にはちょうど良かったと言える。
終盤
試走で見た最後の150キロの距離看板を通過したとき、ガーミンの距離は145キロちょいだった。その時点で既に5時間ちょい。残念ながら実質的にアベレージ30キロは出せなかったが、27キロ台だった2019年より(距離が違うとはいえ)明らかに改善している。
最後までプッシュしつづけ、ついにバイクゴールの五島城の外濠公園へ帰って来た。「思ったより短かったな・・・」実際、公式の154.8キロではなく150キロ弱しかなかったのだが。だがそんなことはどうでも良くて、無事故・ノートラブルで帰って来た、それで十分ではないか?
バイクパート 公式記録:5時間18分04秒(T1含む)バイクラップ76位(復帰後のバイクとしては最高成績かも)211人抜いた(!)。
ラン編へつづく
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