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2023皆生トライアスロンレポートその④バイク編

コース

前述のとおり、皆生のバイクコースは超ややこしい。そして「ジェットコースター」と称されるほど、ひたすらアップダウンの連続である。実際には序盤と終盤はフラットなのだが、その区間の記憶が飛んでしまうほど中盤のアップダウンがこたえる。

ポイント名を200以上も並べられても、覚えられない・・・

それぞれの上りのひとつひとつは斜度・距離ともにそんなに大したことはないが、まずは前半の大山の上りで40キロから50キロにかけて一気に300メートルほど上がる。そこを下り切った70キロから120キロ過ぎまで、ずーっと小刻みなアップダウンが続く。

などとゴチャゴチャ書くより、図をみてもらえば一目瞭然。

それぞれ、距離と高低差のスケールを合わせてある。宮島が別格であることがよくわかる

距離こそフルのアイアンマンより短いものの、皆生のアップダウンのインパクトがなかなか厳しいことがよくわかると思う。

それだけではなく、同じところを3回通過する場所があり、それぞれ違うところから来て違う方向へ進まないといけない。これは選手も間違いやすいが、係員も誘導が大変だ。ここをもう少しわかりやすく案内してほしかったのだが・・・

スタート

さてスイムアップからトランジションを終えてバイクスタートしたのが8時10分から15分の間。すでに気温は32度に近づいていたが、まだこの頃はそんなに気にならなかった。まずは日野川ぞいを遡上していく。

気象庁のデータより

この辺りは選手が密集してしまって、ドラフティング不可避である。もうこれはしょうがないと半分あきらめ、チャンスがあればパワーかけて前へ出るようにしていた。

ガーミンやらかし

この辺で腕のガーミンを見た時に何を勘違いしたか「あれ?動いてない?」と思って、よせば良いのにあろうことかラップボタンを押してしまった。当然計時はT2モードに変わってしまう。やってもうた・・・仕方がない。超長いT2を過ごしてもらって、ランスタートまで放置するしかない。

それにしても風が強い。データを見たら南南西の風5.3mで、この時が一番強くてしかも完全に向かい風だ。道理でキツいはずだ。平均180Wを目安に踏んでるのに全然進まない印象があった。

16キロあたりでようやく進行方向が東となり、横風に変わる。いまいち調子が出ない感覚が続いていた。脚の合うライダーたちといつもの抜きつ抜かれつをやりながら前をどんどん捉えていく。

26キロあたりで現れる非常に印象的なポイントがここのT字路の左折。

いきなりの急坂!

2017年初出場のときは「えっ嘘!もう?」ってなった。地図ではまだこの辺りはほとんど平らだと思っていたからだ。しかし今回はもう3回目。わかっていればしっかりギア落として対応できる。

地下道

そこからの小刻みなアップダウンも結構脚にくる。そして30キロ地点が皆生名物「地下道歩き」ポイントだ。

向こうからきて降車し、この地下道を歩いて反対側へ渡る

今回、スピードプレイのクリートをエアロウォーカブル(パチ)に変えてきていたので、歩き(というか小走り)は非常にスムーズだった。これは・・・良いモノだ・・・

また日野川沿いを経て米子道沿いのド直線をこなしたら、いよいよ大山に向かう強烈な上りが始まる。気温は34度に迫り、ほとんど日陰のない道に直射日光がジリジリと容赦無く照りつける。これは・・・キツい・・・というかマジヤバい!

命の水

最初のエイドでは水ボトル一本だけもらったが、次のエイドでは二本。しかしそれでも足りないことがわかり、その後は「命を守るため」必ず止まって水を被り、さらに水2本+コーラといった具合に必ず3本もらうことになった。

走り出す前は、昨年の調子良かったバイク同様アベレージ30キロを目標にしていたが、そんなこと言ってる場合ではなかった。とにかく死なずに、熱中症にならずにバイクゴールしなければ完走できない。

42キロ過ぎで例のややこしいところを通過するが上りはひたすらに48キロまで続く。しかも焼けつく日差しの中で。やっとピークを超えたと思っても、その後距離稼ぎ的なコースに導かれて何度も登り返しに襲われる。だんだんと心が削られていく。

植田正治

そして豪快に割と長い距離のダウンヒルをこなすと、59キロ地点でこれまた印象的な植田正治美術館前のエイドに到着。ここでもしっかり補給しておく。

これが見えると「エイドだーっ」と思える。

また幾多の登り返しをこなしながらダウンヒルを経て、66キロ地点で例のややこしいポイントに戻ってきた。しかしコース案内の看板がコース脇に倒れている!しかもそこには「一周目左・二周目直進」と書いてあった。

ミスコース

「え?一周目?二周目?このコース、周回とかあった?」一瞬混乱した。たぶん同様に思った前の選手が左折していくのにつられて左折。しかしおかしい。おかしいぞ?と思ったときに前の選手がそこにいたマーシャルに「これ違うよね?」と聞いて「ですよね?」となった。危なかった・・・

あそこは「一周目・二周目」ではなく「一回目・二回目」とすべきだと思う・・・マーシャルも、早いライダーが二回目で通過するとき、まだ一回目の選手もいて、どっちがどっちかわからないからなおさらだ。

ジェットコースター

72キロ地点にかけて下り切ったあと、右折していよいよ終盤のジェットコースターに差し掛かる。そしてしばらくするともうすでに折り返しをこなしてきた一位のライダーが戻ってきた。どうやら優勝候補最有力のINBE選手のようだ。後ろをだいぶ引き離している。

そして次に競り合う感じで来た二人のうちの一人が、我らがJETTの誇るExtreme GouのSoheiだった!凄い・・・なんと彼は序盤の日野川沿いのところでコースミスして数キロ余計に走ってしまったのだそうだ。それがなかったら、もしかしたらINBE選手ともっと良い勝負をしていたかも知れない・・・!!

そこからしばらく対向してくる選手を数えていると、なんと10人前後のところでKojiが、20人ぐらいでDevinが、さらに30人ぐらいでRui、40人くらいでTadashiと、みんな凄いところを走っている!Gou Gou!!

このあたりでみんなにだいぶ力をもらえたようで、だんだんと調子が上ってきた気がした。気温はうなぎ上りですでに35度を超えているが、ひたすらにエイドで水をかぶり、エアロボトルから給水、被り用の水を頭から被り、定期的に塩飴をなめ、ジェルボトルから薄めたマグオンを吸いまくって走り続ける。

折り返し

90キロ地点あたりの大きな三角形を回ってようやく折り返し。なぜか今回のコース距離を五島と混同してずーっと150キロだと思い込んでいて、このあたりで「あと60キロ」と思っていた。逆よりは良かった。

また、ジェットコースターを戻らないといけない。もう、飽きてきた・・・しかし沿道の応援の方がときおり水を用意してくれていて、ものすごく助けられた。特に途中だいぶ長く日陰のない上りを延々とのぼらされて「死ぬー!!」となっていた直後にタライでザブザブ三杯くらいかけてもらったときは「神」に見えたものだ。

地獄の一丁目

ようやくジェットコースターを終えたと思ったら、皆生にも「ラスボス」が控えていた。108キロあたりの広域農道が10%くらいでドーンと登らされる。これは厳しかった・・・普通の気温ならなんてことはなかったと思うが、この猛暑では・・・実際、この区間まででも既に路肩にバイクを置いて倒れ込み、動かなくなっている選手を何人も見かけた。

皆生のラスボス

118キロ地点で例のややこしいところを3度目の通過。もうここに戻ってくる選手は復路をいくだけだからマーシャルの案内も間違いようがない。米子道ぞいのド直線をふたたび戻り、しばらく行けば日野川沿いに出て、あとは川沿いをひたすら戻るだけだ。

追い風

ここで127キロ。あと23キロ・・・と思ったが、感覚的に「そんなにあるはずがないな」という気もした。風は西南西だったのでしばらくは横風で苦しい区間が続いたが、次第に川のむきが北に変わるにつれ追い風でガンガン進みはじめた。エアロポジを固めてガシガシ踏んで40km/hぐらい出る(逆にいうと追い風なのにそれしか出ない・・・)。

この辺りで沿道から「のこり5キロ!頑張って!」という声が掛かり、ようやく「あっ140キロやったんや」と気づく。この時の安堵感たるや・・・(笑)しかし、その後地獄のランをこなさないといけない。でも走らないとゴールできない。やるしかない!

最後に日野川を左岸に渡ればゴールは目と鼻の先。バイクのガーミンはまだ5時間を切っていたが「あわよくば」で狙っていた13時はとうに過ぎていた。

バイクゴール

最後のコーナーを左折しておちついてゲート前で降車。走りながらガーミンの手筈を済ませる。皆生は自分でバイクを掛けに行き、トラバッグラックでランに切り替える。諸々装備を整え、トイレへ駆け込む。あれだけ大量に水分を摂取したのに、あんまり出ない。いかに発汗が多かったかということだ。

バイクラップ(T1含む)正式計時:5時間5分50秒 77位/932人 バイク終了時順位92位(270人抜き)

最後の地獄、ラン編へつづく

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