勉強好きはどう育つのか
「勉強を自分からやるようになるにはどうすれば??」というと、「いい塾に入る」「いい先生に出会う」「いいテキストを選ぶ」「家庭などの精神的な環境」「本がたくさんあるなどの物理的環境」などがよく挙げられますが、それらと同等かそれ以上に「出会い方」が大事だと常々感じています。
どんなにいい塾に入ったとしても、どんなにいい先生に出会えたとしても、どんなにおもしろいテキストを選んだとしても、出会い方が悪く、その教科にあまりいい印象がなければ、自分から楽しんでやるようになるには時間がかかるな……と。
とにかく勉強の入り方は楽しいかどうか、好きかどうか、です。
「人は見た目が9割」、「第1感—最初の2秒のなんとなくが正しい」なんて見た目や第一印象の大切さを伝える本があったり、
異性との出会いにおいて、第一印象で「うっ、なんか生理的にムリ……」となると、その後の挽回がかなりきびしく、長期戦になるように、最初の「なんか好き」というのは後にまで響いてきます。
「勉強を自分からやる子になってもらいたい」と願うならば、できるだけ、「最初の出会い」を大切にするのが重要なのですね。
最初が「楽しい」ならスタートダッシュができますが、最初に楽しくないならリカバーしにくく、学びのチャンスもどんどん逃していってしまいます。
出会いの失敗はなかなか被害が大きく、逆に、出会いの成功はその後の成長において有利に働きます。
実際、教育心理学者のベンジャミン・ブルームらの研究により、何らかの分野でエキスパートになった子たちの子ども時代を調べてみると、その分野で「これ、おもしろい!」という好奇心を刺激する楽しい出会い方をしていることがわかりました。
① 楽しい出会い(好奇心の時代)
② 先生やコーチにつく(自発性の時代)
③ トップクラスの先生についてもらったり、レベルの高い学校に入る(鍛錬の時代)
という段階を経て、その分野のエキスパートへと進んでいった子が多かったという結果が。
成長には段階があるのですね。
そして、それぞれの段階で親が果たす役割というのも変わってきます。
「好奇心の時代」には、親は「たくさんのそれにふれる時間」と「励ましの言葉」をかけてあげる存在であることが大事。
そうすることで、子どもは「ほめられたうれしさ」と「できるようになっていく満足感」を感じられます。理想としては、興味の共有ができて、自然とそれにふれる時間も長くなるので、その分野に親の側も興味を持っているといいですね。
注意点は、この時点では「練習」のようなものはしなくていいということ。やらせたくなるのはわかりますが、「練習」はもっと後の方でよく、この段階では、「遊び」と「練習」の間のようなものが理想といわれています。
この後の「自発性の時代」には、親の役割は「日課をきちんとこなせるようにサポートする存在」というように変わっていくのですが、まずは「出会い方」の大切さを知っておいてもらえたらなと思います。
お盆休み明け、夏期講習の準備をしながら、子どもの勉強との出会い方にこの夏の講座はほんとにちょうどいいな、と思いつつ、勉強と違い、果たして異性との出会いは楽しくできているのか……と思っている自分なのでした。