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「ある」と思うと、何があるかが見えてくる

先生との三者面談。先生がすこし神妙な面持ちをしながら、低い声で、子どものことを、

「いや〜、◯◯君(△△ちゃん)……持ってますよね……」

といってきたら、みなさんはどんな反応をしますか? 3つの中から選んでみてください。

1.「いやいや〜、何にも持ってないですよ〜」
2.「ですよね……わたしもそう思います……」
3.「これですか?」(左手でお金のポーズをしながら)

いえ、「才能を」持っていると「お金を」持っている、を掛けたかったわけではありません。

面談などをしているとよくある光景ですが、こういうときのちょっとしたお母さんの反応も、子どもの才能を見つけ、伸ばすヒントになるので見逃すわけにはいかないのです。

1と2と3。どの反応だったにせよ、お家でお母さんやお父さんが子どもにどんな風に接しているかということ、僕たちやお家での関わり方をどうすればその子がもっと才能が伸びやすくなるかということがわかったりします。

面談って、子どもを見ることと同時に、保護者さまがどう子どもと関わっているかを見ているのですね。

親や教師が「子どもをどう見ているか」は子どもの「マインド」に影響し、そのマインドは子どもの「才能や能力、成績」に影響します。

How(どうやって勉強するか)やWhat(何を勉強するか)も重要ですが、Who、「自分はどんな人間なのか」という「自己イメージ」や、「世界はどんなところなのか、自分の人生はどんなものなのか」という「社会に対する見方」はもっと重要なのです。

その影響は大きく、なんと、マインドは能力だけでなく、「加齢」や「見た目」にも影響することがわかっています。

心理学者のエレン・ランガーが75歳の男性たちを集め実験をしました。その男性たちは目的を知らされず、その男性たちが55歳だったときを再現した合宿所で「20年前のように1週間過ごしてみてください」といわれます。

すると、どうなったか。

男性たちは体力や姿勢、知覚、認知能力、記憶力など、年齢とともに退化すると考えられている数字がすべて改善し、「視力」も10%近く改善、「見た目」も平均3歳若く見られるようになったそうです。

「見方」が「現実」を変える。日々、老化と戦う人類には朗報です……。

「能力」もそう。

親や教師が、

「この子はバカだから」

と思っていたら、

最初から「難しいからわからないよね」と思いますし、「この子にわかるのかな?」と疑います。その疑いは子どもに伝わりますし、「どうすれば、わかるのかな?」「こうやったらわかるかな?」というところにまで考えが至りません。そして、「わからなくてもしょうがないよね」となります。

「僕はバカだから」
「私は算数が苦手」

もし、子どもがそんな自己イメージを持っているとしたら、その子は「努力しない病」になってしまうでしょう。やればできるようになることもやらないようになり成績は下がります。

「あの先生キライ」
「教え方がヘタなんだもん」

という責任転嫁のクセもつきやすくなります。

「期待」というのはプレッシャーにもなりますが、「希望」にもなります。「希望」があるからやってみようとなるし、やってみるからできるようになるのですよね。

もし、テストの点数や成績がふるわなかったとしても、それは「現在のレベル」を示しているだけ。将来の伸びを示しているわけではありません。

まずは根拠のない自信でもいいので、

「うちの子は何か持ってる」

と思ってあげてくださいね。

そして、「がんばれば届くような目標」を決め、少しでいいので改善のための「具体的な一手」を打ってみる。長い目で成長を見守ってあげる。そうすると、少しずつ、現実も変わっていきます。

「この子……大丈夫……!?」

と不安に思ったとしたら、

「あると思います!」

と思ってみる。言ってみる。

そして、もし、バカにしてたな〜と思ったとしても自分を責めず、何回やってしまったとしても、

「次はなんだかいけそうな気がする……」

と自分に対しても思ってみてくださいね。

才能って目に見えないし、さわれない。でも、「ある」と思うから、見えてくる。幽霊みたいなものですね。(ちょっと違うかな……)

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新留裕介
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