記事一覧
詩にタイトルはいらない #21
むぎあらしの夜
グラスボートで旅に出よう
君はビール片手に
むぎあらしの夜
満月を追いかけていこう
僕はオール両手に
むぎあらしの夜
それを誰かがきっと、観てくれている
詩にタイトルはいらない #20
いまいちど、自分の文字を抱きしめる
龍とは程遠い
たくましさも、威厳も無い
ただ細くて長いだけの文字
イミシンでもなく、奥深くも無い
ただみせかけの故事
それでも脈々と流れて海へと渡る
詩にタイトルはいらない #19
除湿をせよ
加湿をせよ
除湿 加湿 除湿
加湿 除湿 除湿せよ
除湿 加湿加湿 除湿
加湿除湿除湿 加湿
それでわたしは
忙しい
詩にタイトルはいらない #18
ままならぬ 言葉で鉛筆の芯を折り
ままならぬ 恋で口を悪くする
ままならぬ 指先不徳の瓶を持ち
平均台の上で踊ってみせる
詩にタイトルはいらない #17
最新のアプリを入れても
揺られる汽車は単線の
上では虚しく似合わない
すれ違うたび停車して
地元企業の看板は景色に溶け込み
学生と老人しか居ないこの町で
彼女はモデルになることを夢みる
詩にタイトルはいらない #16
僕の髪の毛に海苔がひらり舞い降りた
狐の嫁入りより不可思議で
狸の葉っぱよりは現実的な
それに気づいた彼女の目は可愛くて
指先伸びて髪に触れる
「動かないで」の一言を添えて
君のため
コウベヲタレル
君との距離
案外恋を確認するのはこんな時かもしれない
中庭連なる文化祭
僕らは2人きりになった
詩にタイトルはいらない #14
スキをありがとう
お礼の気持ち
机の上から空へ飛ぶ
詩にタイトルはいらない #13
屋根上を
闊歩するカラスの足音に
驚かなくなった春の新生活
詩にタイトルはいらない #12
私の恋が死んだ
脱皮に失敗した蟹のように
詩にタイトルはいらない #11
マスキングテープの始まりを探る様に
わたしはあなたに爪を立てる
詩にタイトルはいらない #10
ぽつんと浮かぶ千年珊瑚
そんなあなたにも言えない恋がありました
万年たっても、告白出来ぬ想いです
生まれてまもなく誰にも言わないことにしたのです
ホンソメワケベラが性転換し
イチハマ、ニクマ、サンカクレと威嚇する
ウツボの穴を覗き込み
宇宙の営みを知ったとしても
この海を漂う覚悟をしたのです
透明度の高い私の恋は
届きそうで届かない
浮力の恋なのです
詩にタイトルはいらない #8
しりとりで
ウシガエルは禁止だと
告げた彼女のいたずらを
真に受け、一頭と1匹を引き離す
詩にタイトルはいらない #7
声かけて
セーノで立てる設営の
テントに潜る懐かしの私