1年かけて未経験のママデザイナー15人集めてデザイン事務所を作った話
こんにちは。ドマノマド代表のよしだたかみです。
ITメーカーのプロダクトデザイナーとして8年働き、フリーランスになってからは2年、デザイナーとしては10年目のキャリアです。
夫もUIデザイナーの同業夫婦で、4歳と1歳の姉妹の母親でもあります。
そんな私が立ち上げたドマノマドデザインファームは、子供と働けるデザイン事務所。WEBやロゴ制作、紙もののデザインを通して、お客様の事業の価値を高めるブランディングをこれまで数々手がけてきました。
実は、それらを作っているのは駆け出しの女性デザイナーたち。今回はそんな彼女たちが日々活動する「ドマノマドデザインファーム」ができるまでをお話しします。
きっかけは「デザインお悩み相談室」
世の中がコロナで大変な中、子供と働けるワークスペースのドマノマドも同じように、活動を自粛していました。
明らかに利用者は減っており、何かドマノマドにくるきっかけ作りができないかと思い企画したのが、「無料デザインお悩み相談室」でした。
当初はデザインに関するいろんなお悩みをプロに相談できますよ、というていで、ノンデザイナーさん向けに企画したのですが、そこに相談にきてくださった駆け出しの新人デザイナーさんが、こんな悩みを打ち明けてくれました。
「コロナ禍で働き方を見直したくて、WEBデザインスクールに通ったは良いものの、お仕事ができる気がしない。不安でいっぱいです」
時間と場所に縛られずに働けるWEBデザインの世界に興味を持って、数ヶ月間WEBデザインスクールで学んだものの、そこで学べるのはデザインを形にするためのツールの使い方を教えてもらえるだけ。
お客様の要望をどう引き出せばいいの?
デザインってどうやって考えて形にすればいいの?
自分のデザインがいいのか悪いのか判断できない…
そんな実際のお仕事進めるためのやり方は、WEBデザインスクールでは教えてもらえないことがほとんど。
ずっとデザイン畑にいた私は「この内容で数ヶ月でプロのデザイナーになれる人なんてそういないよ…!」と衝撃を受けました。
デザインは花を育てるようなもの
デザインは、植物を育てることに似ていて、きちんと根を張って育てて行かないと、綺麗な花は咲きません。
そもそも、そこに種を植えて大丈夫か?そこに種を植えたところで、ちゃんと人に見てもらえるか?そんな根本的なところから考え、きちんと土壌を整え、肥料を与えた上で正しく育てていくことが大切。その上で、どう育てていったら、綺麗で逞しいお花が咲くのか。それはお花によっても違うし、もしかしたらお客様にとって必要なのは、チューリップじゃなくてトマトなのかもしれないし…笑
とにかく、WEBデザインひとつとっても、これが正解!という育て方はないし、状況に応じて臨機応変に提案できる応用力を身につけないことには、お客様の希望に沿った花は咲かせられないと思います。
WEBデザインを学ぶだけではお客様を理想の未来に連れて行ってあげられない
WEBデザインは1つの課題解決の手法であって、WEBサイトを作ることが目的ではありません。本当にお客様のビジネスをデザインの力でサポートしたいなら、根本的な課題を引き出し、整理し、改善策を提案できないとプロのデザイナーとしてやっていけないと思います。しかもこれは最低限のデザイナーの仕事であり、当たり前にできていなければならないことだと私は考えています。
じゃぁ、どうすればいいのか?
このようなスキルを身につけるには、とにかく実践あるのみです。とにかく生身のお客様を相手に、その方の要望やその先のお客様のことを考え抜いてデザインする。ケースバイケースで毎回やり方も変えたりするので、やっぱり実践でしか気づけないこと、学べないことがあるのです。
未経験から成功している人は、学習したらとにかく実践を積んでいるというのが共通点だと思います。「とにかくやってみよう」で一歩踏み出せることが何より大事です。
でも、その第一歩が踏み出せず、一人でもやもやしている方、多いのではないでしょうか。
だから私はドマノマドデザインファームを作った
駆け出しのデザイナーさんの第一歩を、安心できる環境でサポートしていきたい。そんな思いで、デザインファームを作りました。
スキルアップはもちろんですが、そもそもなぜその人がWEBデザイナーを目指したのか?ということも大切。
WEBサイトを作れるようになりたい!というのは目的ではなく、「今の働き方を変えたい」「家族との時間を大切にしたい」「私だからできることで感謝される仕事がしたい」…そんな自由でやりがいのある仕事を夢見て一歩踏み出した方がほとんどなのではないでしょうか。
私がフリーランスになったのも同じ思いでした。働き方の選択肢をもっと増やしたいという思い、そして何よりデザインという手に職を持つことで自分のキャリアに自信が持てること。
ライフステージが変わっても、世の中がどう変わっても、自分にスキルがあれば、選択肢はいくらでも広げられる。
そんな思いもあって、女性のためのデザインコーチングコミュニティ「ドマノマドデザインファーム」を立ち上げました。
ドマノマドが大切にしていること
ドマノマドデザインファームを作る上で、他のWEBデザインスクールと何が違うのかを徹底的に考えました。
そこで、以下の3つのポイントをぶらさずに、他にないコミュニティ作りを意識していきました。
①報酬を得ながら学べる超実践主義
一番の特徴は報酬を得ながら学べるという点です。
デザイン事務所として受けた案件を、メンバーみんなで取り組んでいきます。カリキュラム自体がクライアントワークなので、先輩デザイナーの実際のお仕事の流れを間近でみながら学ぶことができます。もちろん、作業に対しての報酬もお支払いするので、その分コーチング料金がキャッシュバックされる仕組みです。
②チームで切磋琢磨しながら制作
案件が舞い込んだら、どんな案件でもチームを組みます。WEBなら2〜3人、名刺という小さな媒体のデザインでも2名体制でデザインしていきます。自分にはない視点にハッとしたり、ライバルに負けないぞ!という高いモチベーションでお仕事を進められます。また、自身や家族の急なトラブルなどがあっても、チームで助け合いながら納品までしっかりサポートしていきます。フリーランスにとってはありがたい環境です。
③女性/ママデザイナーに特化
代表の私自身も現役で子育てをしているママデザイナーです。所属しているデザイナーはフリーランスもいれば、本業があるパラレルワーカーもいます。がっつりデザインという仕事でご飯を食べていきたいとバリバリ案件をこなす人もいれば、本業も好きだし、デザインも好きだから隙間時間にデザインの仕事をする人も。多様な働き方を受け入れる体制を整えていますので、その方の理想の働き方を試せる場だと思っています。
こんな人を受け入れました
ドマノマドデザインファームですが、現在20人ほどのデザイナーが所属しており、うち約15名が完全未経験の駆け出しデザイナーでした。
今思えば、ポートフォリオも何もないデザイナーさんたちを、熱意と直感だけで15人ほど受け入れて始めるという無謀とも言える挑戦でした…笑
ドマノマドの活動内容
まずはWeb制作のプロセスをレクチャー
Webサイトをまだ作ったことがないというメンバーもいる中で、まずは基本的なWebサイト制作のプロセスをレクチャーしました。
自身のポートフォリオサイトを作るプロセスを経験することで、実際の案件もスムーズに進められるよう、丁寧にレクチャーしていきました。
こんな感じで、とにかく実践で使えるノウハウをレクチャーしていきました。
同時進行で営業活動
「超実践主義」を掲げるドマノマドには、案件がないと運営が成り立ちません。ココナラに登録し、最初は修行期間と思って、最低金額で出品。とにかく案件を受注しまくりました。
当初は新規案件が舞い込むたびにお祭り騒ぎ(今もですが笑)きちんとドマノマドとして受注したい案件を絞るブランディングをすることで、保育園さんやアロマオイルブランドさんなど、女性やママ向けの事業をされている方の目に留まり、どんどんと舞い込んでくる仕事に、私たちも自分ごとで捉えながら、モチベーション高くお仕事をさせていただきました。
最初は最低金額から始まったお仕事も、クオリティにとにかくこだわることでリピータさんを獲得し、ココナラでも直案件もどんどん実績を積み上げ、半年で単価を10倍にすることができました。それでもお問い合わせは絶えません。
ココナラでも最高ランクを獲得し、ランキング上位に載ることもしばしば。
今では15〜17件ほどの案件を同時進行しており、1人2〜3案件掛け持ちしながらお仕事を進めています。
メンバーはこれまで累計で平均で20万円以上の報酬を得ています。
多い人では50万円近く稼いでいる方も。これはコーチング料金を差し引いても黒字で、実質0円で学んでいるメンバーも多くいます。
WEB の実績も一人4件、ロゴ2件、他DTPなど、実績も数多く経験してもらいました。ほとんどがSNSやポートフォリオに掲載可能な案件です。
何より大変だった立ち上げ期
最初は右も左もわからない、自信がとにかくなかったメンバーたち。
そもそも、未経験のデザイナーを15人かかえ、ほぼ私1人で最大10件ほどの案件をディレクションしてきたので、多忙を極めました。
新人さんにデザインを教えながら、実際のクライアントワークとしてお客様とのやりとりも自分でやっていたので、正直やばかったです。笑
加えて個人的なことですが、途中で第二子の出産を挟み、2人目子育てに奔走しながら、産後1ヶ月で仕事復帰して…もう無我夢中でした…笑
メンバーの変化
それでも、ひとりひとりのデザイナーさんがどんどん逞しくなって、素敵なデザインを作ってくれるのを間近にみられることがなによりうれしく、やりがいを感じていました。
今では私ではなくメンバーにプロジェクトのリーダーとしてお客様とのやりとりを全て任せて、私はクオリティコントロールするのみの体制をとれるまでになりました。
最初はお客様と相対することに緊張していたメンバーも、走り出してしまえば持ち前のコミュニケーション能力とホスピタリティで、お客様からの信頼を得てバリバリお仕事している方がほとんど。
ここで改めて、ドマノマドで学んだこと、入会する前と後で変わったことをメンバーに聞いてみました。
①仕事の進め方やデザインの考え方がわかった
HTMLやCSSなど、Webサイトの作り方を教えているスクールは多くありますが、仕事の進め方やデザインの考え方を教えているところはほぼないため、ドマノマドでしか学べないことがたくさん。実際の仕事の進め方を経験できることが何よりよかったとの声をいただきました。
②デザイナーとしての自分の強みがわかった
デザインと一言でいってもいろいろあります。コーディングが好きな人もいれば、メインビジュアルを作るのが得意な人、デザインコンセプトを作るのが得意な人…
とにかくドマノマドにはバラエティに富んだ案件がいつも舞い込みます。
なんでも手を上げてまずは挑戦してみることで、自分の得意不得意、好き嫌いがだんだんわかってきます。
自分と同じような駆け出しのデザイナーがたくさんいることも刺激になって、私にしかない強みはこれだ、私がやりたいことはこれだ!と、自分ならではの強みを見つけてスキルを伸ばしていくメンバーが多くいます。自分の強みを見つけることは、飽和しているデザイン業界で、大切な気づきになっているはずです。
③自信がついて自ら行動を起こせるようになった
入会当初は自信がなくて、なかなか一歩踏み出せなかったメンバーも、1年間ごりごり仕事をしてみて、仕事の進め方やクライアントとのコミュニケーションができるようになると、少し勇気が出て、面接に挑戦して企業との業務委託を勝ち取ったり、会社を辞めてフリーランスとして生きていくことを選択したりと、自らの意志で人生の舵を切っているメンバーを見ます。
なによりこの、挑戦するマインドが身につくというのが私にとってはうれしく、他に変え難い成果であると感じています。
お金を稼ぐことはゴールではない
よくデザインを教えるコンサルの人が、月収3桁達成する生徒さん続出!などとうたっているのを目にしますね。実はドマノマドでは、お金を稼ぐことをゴールに設定していません。
一生もののデザインスキルを身につけることで、自分の力で自分の人生の選択肢を増やしていけるようにすることを目標にしています。
そして、なによりデザインという好きなことで繋がった私たちには、かけがえのない仕事仲間ができました。
さまざまな試練を乗り越え、お客様にデザインを届けることができた時、仲間同士で反省会という名の打ち上げをするのも楽しみの一つ。
1人ではできないことも、みんなでなら乗り越えられる。オンラインでしか会ったことのないメンバーがほとんどですが、毎日のように連絡を取り合う、かけがえのない同僚であり、ライバルでもあります。ドライなわけでも、依存するわけでもなく、心地いい距離感の不思議な関係性だよね、とよく話します。時に熱く語り合い、納品前は文化祭前のお祭り騒ぎになることもしばしば。そんな遅れてきた青春が、ドマノマドにはあるかもしれません。笑
今後の展望
ドマノマドデザインファームというコミュニティを立ち上げて一年が経ちました。一年で仕事を自分たちで回せるメンバーを育て、デザイン事務所としてもご依頼が絶えないところまで成長してきた私たち。
ゆくゆくは、子どもと働けるデザイン事務所を全国に作って、ドマノマドの活動を日本中に広げたい。そんな夢もあります。
まずはその第一歩。10月に新メンバーを受け入れたいと思っています。説明会と現メンバーと交流できる座談会を企画予定です。
新メンバー向け説明会&座談会は公式LINEより申し込みいただけます。
新メンバー募集説明会&座談会
2022年8月26日(金)10:00〜11:30ごろ
もし、あなたが今お悩みで、一歩踏み出せずにもやもやしていたら。フリーランスは孤独で不安でいっぱいという方がいたら。 よかったら遊びに来てくださいね。
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