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連載小説★M&A春風 第57話 ビューコン?
第1話はこちら
真奈美は深呼吸を一回。
「えっとですね。①着手金と②1回目の意向表明の棲み分けを教えてもらえますか?重複しているのならやはり見直しもお願いしたいのですが……」
すると、林は頭をぼりぼりかいたいて、苦しそうに答えた。
「えー、一度持ち帰りまして、再検討させてください」
山田はその答えに満足したようだ。
「ぜひ、よろしくお願いします。そうじゃないと、ビューコンという話も出ちゃうかもしれませんからね」
「必ずご満足いただける提案を、もう一度提案致します」
ビューコンとは、ビューティーコンテストの略で、候補となる複数の投資銀行から提案を受けて選定することだ。
IWBC証券およびIW銀行グループからすれば、せっかくこれまで頑張って他社より先に提案したのに、他社にFAを取られたくないから、できる限りビューコンに持ち込まずに採用してもらいたいに決まっている。
(……まったくもう……社内外分け隔てなくにこちゃんドSを貫くところは立派ですけどね……)
こうして宿題を持ったIWBC証券を見送りし、真奈美と山田は山根たちと向き合った。
「山根さん、彼らにはもう少し検討してもらいますが、IWBC証券のフィー水準は妥当なレベルです。提案内容もしっかりしていましたし、特に異論がなければこのまま相見積もりなしで彼らを採用したいと思うのですがどうでしょうか?」
山根は二つ返事で答えた。
「はい、メンバーも頼もしかったですね。私は異論ないです。予算はうち持ちですよね」
「はい。お願いします」
「わかりました。まあ、これで買収ができるなら安いもんです」
山根が苦笑いするが、真奈美としては追い込みをせざるを得ない。
「あの……この後、DDになりましたら、弁護士や会計士、税理士、場合によってはコンサルなども必要になりますので、そちらもお願いします……」
「ああ、そうですよね。わかりました。費用が出せないから検討できないなんて本末転倒です。澤田さん、予算の組み替え、相談しましょう」
それを聞いた澤田の表情は、今まで見た中で一番どんよりしていたのだった。
(補足解説:飛ばしてもOKです)
ビューティーコンテストといえば、普通は「ミス〇〇」のように、女性が自身の美貌や魅力を競うコンテストですよね!
M&AやIPOの世界では、これが転じて、M&AのFAやIPO幹事を決める際に、候補となる複数の投資銀行から提案を受けて選定することをビューコンと言います。
でも、投資銀行の方々はベイクオフとも言うらしいですね。
これは、焼き菓子コンテストの意味から転じて使われているらしいです。
どちらでもよいのですが、ビューコンの方が響きはいいですね。
よりビューティーな提案をお待ちしています!
あ、もちろん、本当のビューティー(美人さん)コンテストも大好きです♫
M&Aのミスコンは無いのかと『ミスM&A』でググってみたら、『M&Aの失敗(ミス)』ばかりヒットしてちょっと残念な気分ですが(汗