連載小説「転生ビジネス・カオスマップ」第七部 第42話 シャイン・アップ
「パーシアスさんに呼ばれてアンドロメダ・ワールドに来ました。
そして、新たに検証したことがあるんです」
「検証?」
「はい。ここは科学が発達した異世界。魔法は使えないと言われています」
たしかに。
「でも、実は、武器の威力を増加する支援魔法は効果があるようなのです」
「えええ!?」
それって、すごい発明じゃ?
「でも、そのためには武器に直接魔法をかける必要があります」
「……ってことは……」
「はい。メイさん、あなたが魔法少女になるしかありません」
やっぱり、嫌な予感は的中……
まさか、またそのようなリクエストが来るとは……
「い、嫌ですよ、絶対いやです」
「そんなこと言っていると、沈没しちゃいますよ?」
……でも、またあんな恥ずかしい変身はしたくない。
裸みられているのと同じようなもんだもの。
「ねえ。ユナの方が魔法少女に会うと思うんだけど?
この腕時計を、ユナに渡したらダメ?」
「……それはあなた用の特注変身セットですから、だめです」
……やっぱりね。
「わかったわよ。じゃあ、みんな、見ないでよね?」
そういうと、私はこっそりと兵器の陰に隠れる。
そして、以前アミからもらった変身用腕時計をつける。
えいっ!
ボタンを押すと、腕時計から大量の光があふれ出し全身を包み込む。
あぁ、今、裸同然のシルエットがさらされているのよね……
やがて、その光が徐々に収まり、新たなユニフォームが形成された。
「わぁ、かわいいです。メイさん、セクシーすぎです」
「あら、本当に。結構似合うんじゃない?」
「……いいと思うぞ」
見ないといったくせに……
ユナもエフさんもハルトも、しっかりガン見しているじゃん。
「もう、勘弁してよ」
私はほっぺたを膨らませて文句を表明する。
「メイさん、ラブリーシャイン・アップと言ってください」
「また、そんな恥ずかしい名前……」
「早くしないと……」
「はいはい、はーい。じゃあ……」
もう、どうにでもして……
「ラブリーシャイン・アップ!」
すると、CIC全体が金色の光に包まれる。
「今よ、攻撃して」
『アイアイサー、軽レーザー砲、発射』
武器はほとんど積んでなく、ペンライトのようなレーザー砲しかない。
戦艦が打ち出す重力子魚雷や高出力レーザー砲とは比べ物にならないくらいのひ弱な威力だ。
でも、何もしないよりましか、ということで、それを撃ちだす。
すると……
ドゴゴゴゴー!
物凄い轟音を伴い、何本ものレーザー光が発射された。
しかも、通常のひたすら直進するレーザーとは違うみたい……
「レーザーが……敵をホーミングしている?」
レーザーは円弧を描きながら、左遠方の戦艦に接近。
半分くらいが、そのエンジン部分を直撃し大爆発。
残りのレーザーは、そのままぐるっと軌道を変える。
今度は左後方の戦艦の艦首部分に突き刺さる。
そして、大爆発。
うそ!?戦艦二艦が一瞬にして中破した……みたいよ?
「くそー、覚えてろ」
トミーはあわてて戦線を離脱していった。
あたりには、静寂が戻る。
「……なんとか、生き延びれたかしら?」
私のつぶやきに、ハルトは不吉なことを……
「トミーのことだ。また、仕掛けてくるかもな」
すると、エフさんがすました顔をして答えた。
「多分、彼はこれ以上の追撃費用は出せないと思うわ。
だって、彼、費用ケチって免責保証制度に入らなかったもの。
戦艦一艦大破、二艦中破でしょ?とんでもない借金抱えたはずよ」
……まじ?それって……3桁億円、下手すると兆とか言っちゃうかも?
私は、ハルトとユナと目を合わせる。
「ぷ、ぷぷっ」
「うふふ」
「あははは」
可哀そうだけど、笑っちゃうわよ。
自業自得だもんね。
それにしても……魔法と軍用艦の併用って、とんでもない威力ね。
これが、パーシアスさんが言っていたこと……
『アンドロメダAGにはケンタウリSAが必須』の真相だったのね。
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